身につく学習法、役立つ本、サイト紹介

英語

語学学習の道しるべ

外国語は私たちの月並みな能力をすりぬけていってしまいます。身につけようとするなら、次の三原則を守ることが、どうしても必要です。


何度も同じ教材を聞き返すこと。

何度も同じ教材を音読すること。

何度も文章を書き、チェックしてもらうこと。


(1) 同じ教材を聞くのはつまらないと思う人は、その教材がそもそもおもしろくないからです。何度聞いてもおもしろい教材は、教材を書いた人が人気作家(たとえばシドニー・シェルドン)であったり、自分にとてつもなく関心のある対象についてであったりします。

(2) 音読ではなく黙読で充分と思う人は、よほどの天才です。声にだすことが、言葉を脳からだけではなく体から身につけさせることは、NHK「にほんごであそぼう」で実証済みです。

(3) 自分で書ける英語は自分で話せる英語のレベルを反映します。自分の英語がいかに日本語に引っ張られているかは、英語母語話者にチェックしてもらえば、一目瞭然です。そのチェックが無理だとすれば、母語話者に近い人が書いた本、日本人が間違えやすい英語について書いた本を、繰り返し読むことです。

繰りかえすこと

聞き返すには、語学の天才ではない私たち普通の人間は、何度聞いてもおもしろい教材であるという条件が必要です。

(1)とつもなくおもしろいのが、新聞・雑誌などの広告にでている
    シドニー・シェルドン作の物語です。
これは教材として日本で売り出されいます。しかし、Audio Booksという形で彼の作品はほとんど出ています。他に聞き飽きないのは、
    フレデリック・フォーサイス、
    ジョン・グリーシャム
です。とくにフォーサイスの英語は見事です。これら作家には翻訳(その質は知りません)はありますが、それがあまり必要とならないくらいやさしい英語で書かれいます。『ハーリー・ポッター』には全作朗読のテープ・CDがありますが、中級の上位のレベルです。(私自身はこの作品は読んだことはなく、テープ・CDを聞き通しました。)


(2)自分にとてつもなく関心があるという点では、私の場合には、ビル・モイヤーズ(米国の立花隆のようなジャーナリスト)の一連のシリーズです。またVOAのDatekineという番組、CBSのSixty Minutesという米国で圧倒的視聴率を誇る番組はほぼかかさず聞いています。どちらも無料で、VOAはストリーミングできますが、CBSは番組ごとにクリックしていかなくてはなりません。
イギリス英語を聞くなら、BBCです。世界に向けたニュース(Latest News)とイギリス国内向け(BBC News)があります。イギリスの内情や報道を仕方を知る上では、後者はとても役に立ちます。9.11以降は、VOAではなく、BBCのニュースを聞いています。


語学の天才ではない私たち普通の人間は、音読がかならず必要です。シャードーイングShadowingといって、英語が聞こえてきたら、即座にそれを声にだし、一文でもよいからついていくやり方があります。これはとても効果的なのですが、息が切れてしまいます。そこでポーズ付きの教材が適しています。

(1)比較的おもしろく、新しい表現、生き生きとした英語にあふれ、なおかつほとんど毎日声にださなくてはならないという教材があります。岩村圭南が講師をしているNHK英会話Let's Speak(ラジオ番組)です。

(2)国弘正雄のCDブックが多数出ています。自分のレベルにあわせた本からはいっていくとよいでしょう。

(3)自分で読んだ本のなかで、とく気に入った箇所は、ページの端をその箇所にあわせて折っておき、最低三度は読むようにする。私の場合には、一時期、カードにとって、手と声とでなんども繰りかえしました。枚数は数えてはいませんが、ヨックモックの直方体鉄缶に三箱たまりました。

(4)声にだすからには発音がそれなりによくないと、自分以外の誰にも通じない英語を声にだすというナンセンスなことが起こります。発音矯正の本で決定打ともいうべき存在があります。
   山田恒夫, 足立隆弘, ATR人間情報通信研究所著.
   『英語スピーキング科学的上達法 : 発音の良し悪しをパソコンが判定』
    講談社ブルーバックス
.
朗読で聞いて、楽しみながら覚える英語 英語の本を朗読したオーディオ・ファイルが手に入ります。ベストセラー部門が一番強く、哲学、宗教のジャンルはかなり貧弱です。http://www.audible.com/adbl/store/welcome.jsp

何度も同じ教材を音読すること

何度も同じ教材を聞き返すこと

書いてチェックすること

語学の天才ではない私たち普通の人間は、日本語に引っ張られて英語を書いたり、話したりしてしまいます。そのためには日本語の癖、英語の癖を知らなくてはなりません。また一番、効率的なのは母語話者にチェックしてもらい、直された箇所がなぜそう直す必要があるのかをその話者に質問することです。イギリス人、オーストラリア人から大変にいろいろと私は教えていただきました。アメリカ人は残念ながら、えてしてこの種の質問には弱く、事実上直してもらうだけという経験に終わることが多かったように思います。

(1)日本語の癖とは、いわゆる日本人英語ということです。手元のこの種の本を積みあげると、2メートル位の高さになります。それくらい多く出版されています。しかし一冊をあげるとすれば、
     中川信雄
     『英文法その微妙な違いがわからない!? どこかおかしい、でもなぜかわからなかった101の疑問』研究社
タイトルには英文法となっていますが、事実上、私たちが英語を時制から単語のレベルにいたるまでどれほど誤解しているかが、痛いほどよくわかります。中川信雄には他にもこの本に類似した著作がありますが、いずれも必読です。ただしこの本の唯一の難点は、例文がどれもこれもおもしろくないということです。
 この本以外で、日本語の癖や私たち日本人の誤解からもたらされる英語にたいする誤りを扱った本は、「英語をよりよく学ぶための本へのメッセージ集」をみてください。

(2)メイルを書くというのが、一番、身近で起こることですが、書く前にまず文例集にあたり、自分の書きたい内容をその文例集の英語と見比べながら、再考してみると、意外に、日本人英語の癖、英語の癖がわかってきます。手紙の文例集は「英語をよりよく学ぶための本へのメッセージ集」(手紙・メイル編)をみてください。


(3)母語話者も忙しいですから、質問するときにはなにがどうわからないのか、頭で英語に直してから、母語話者にあたるようにするのが礼儀です。次に直してもらったら、自分でなぜ直されたのかわからないところは聞きに行くのが礼儀だと思ってください。

日本人やアジア人大学院生の書いた英語や日本語をチェックして思うのは、
    @直した箇所をなぜ直したのか相手がわかってくれるかどうかということ、
    A直した箇所は次回から二度と間違え欲しくない
ということです。@もAも相手が直接、質問に来てくれれば、解消することだと思います。礼儀だと思うというのはそういう意味です。