シラバス
【副題】恋愛と結婚愛の人間像
【授業概要】
「恋愛で燃焼し、結婚で子孫と資産獲得、でも離婚は不可能」というのが、16-17世紀のイギリスの男女の愛についての考え方でした。結婚は、燃焼する恋愛とはあくまで別物で、子孫を残すための仕組みでした。これが19世紀頃から変化します。夫婦はロマンチックな関係にあり、互いにわかり合い、深い親密度をもった結婚愛を持つのがよいという観念が支配的になっていきます。比較文学の視点を取り入れ、時代を横断しながら、恋愛と結婚愛をテーマとした作品を取り上げます。授業はともに対話しながら考えていく形式で進みます。なお、対話の前提としては、次の四項目があります。(1)取り上げる作品の通読、(2)各作品の考え方・価値観についての「200字意見文」、(3)各作品の部分暗誦、(4)授業内容についての小テスト。

【到達目標】
1. [実用的教養]他者理解は共通の文学的知識が重要な役割を占めていることを理解する。
2. [多元的視点]同一の国であっても時代により常識が異なっていることを理解し、現在の常識を尺度として他国・他時代の常識を価値付けないようになれる。
3. [コミュニケーション・スキル]自分の考えを伝えるには、論理的な意見表現、限られた枠内(時間・スペース)での意見表明、相手を魅了する編集力が必要であることを理解する。

【授業計画】
1. 恋愛は結婚に至らない、結婚は恋愛を保てない:
Gillian Flynn, Gone Girl (2012) , 村上春樹『ノルウェーの森』(1987)
2. 聖書が示す恋愛と結婚愛:
John Milton, Paradise Lost (1664) 第4および6巻:
3-5. 恋愛にはパタンと教養が必要:
William Shakespeare, Romeo and Juliet (1595):
6. 中間発表 (1):小テスト, 意見文発表, 作品暗誦
7-8.深い相思相愛は結婚愛へと成就しない:
Emily Bront?, Wuthering Heights (1847)
9-10.恋愛から結婚へと主導権を握る女性
William Shakespeare, The Merchant of Venice (1598)
11. 恐るべき女の愛の力
John Keats, "La Belle Dame Sans Merci" (1884):
12. 中間発表 (2):小テスト, 意見文発表, 作品暗誦
13-14. 地位と安定を目指す結婚が永続する不思議
Jane Austen, Pride and Prejudice (1813)
15. 恋愛と結婚観の総括および小テスト

【授業時間外の学習 (準備学習等)】
[予習]授業で取り上げる文学作品は通読しておくこと。映画については事前視聴は不要です。原書・翻訳の情報は以下のサイトを参照:
1.授業の準備として、テキストおよび資料の該当箇所を予習すること。2.特に、初見の言葉や概念などについては、必ず調査をすること。3.該当箇所全体の要旨をまとめておくこと、同時に質問箇所を明確化すること。

【評価方法】
レポートによる評価(80%)小テスト(20%)

授業に必要な前準備、予習・復習・レポート課題等の宿題など、授業時間外での学習について、書名や学習範囲
等具体的に記述するようにしてください。
?

【副題】恋愛と結婚愛の人間像
【授業概要】
「恋愛で燃焼し、結婚で子孫と資産獲得、でも離婚は不可能」というのが、16-17世紀のイギリスの男女の愛についての考え方でした。結婚は、燃焼する恋愛とはあくまで別物で、子孫を残すための仕組みでした。これが19世紀頃から変化します。夫婦はロマンチックな関係にあり、互いにわかり合い、深い親密度をもった結婚愛を持つのがよいという観念が支配的になっていきます。比較文学の視点を取り入れ、時代を横断しながら、夫婦関係と離婚をテーマとした作品を取り上げます。授業はともに対話しながら考えていく形式で進みます。なお、対話の前提としては、次の四項目があります。(1)取り上げる作品の通読、(2)各作品の考え方・価値観についての「200字意見文」、(3)各作品の部分暗誦、(4)授業内容についての小テスト。

【到達目標】
1. [実用的教養]他者理解は共通の文学的知識が重要な役割を占めていることを理解する。
2. [多元的視点]同一の国であっても時代により常識が異なっていることを理解し、現在の常識を尺度として他国・他時代の常識を価値付けないようになれる。
3. [コミュニケーション・スキル]自分の考えを伝えるには、論理的な意見表現、限られた枠内(時間・スペース)での意見表明、相手を魅了する編集力が必要であることを理解する。

【授業計画】
1. 離婚に運命づけられた結婚、破綻の理由がある結婚:
村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』(1987), 『クレイマー、クレイマー』(Kramer vs. Kramer) (1979) , 
2. 聖書にみる妻の裏切りと和解:
John Milton, Paradise Lost (1664) 第9および10巻
3. 聖書にみる妻の裏切りと離別:
John Milton, Samson Agonistes (1671)
4-5. 夫の嫉妬と妻の嫉妬は真逆:
William Shakespeare, Othello (1602):
6. 中間発表 (1):小テスト, 意見文発表, 作品暗誦
7-8. 離婚できないキリスト教と離婚ができるキリスト教
William Shakespeare and John Fletcher, Henry VIII (1623)
9-10. 重婚は罪、しかしそこに結婚愛がある:
Charlotte Bront?, Jane Eyre (1847)
11. 相思相愛という幻想:
Robert Browning, "Love in a Life" (1855)
12. 中間発表 (2):小テスト, 意見文発表, 作品暗誦
13-14. 性格の不一致なら離婚するのが女性の権利:
Rachel Cusk, Aftermath: On Marriage and Separation (2012)
15. 夫婦関係と離婚観の総括および小テスト

恋愛と結婚の人間学











 参考図書   
 英詩 石井庄之助『英詩の世界』(大修館),  新井明『英詩鑑賞入門』(研究社)  
 小説 サンドラ ギルバート ,スーザン グーバー 『屋根裏の狂女―ブロンテと共に』  
 心理学 クレイグ 『結婚の深層』,
M.L.フォン・フランツ『 永遠の少年―星の王子さまの深層』
 
 恋愛観 フランチェスコ・アルベルローニ  『インナモラメント<恋愛の発見> 』
                     『新恋愛論』
 
 結婚観  ローレンス・ストーン『家族・性・結婚の社会史―1500年‐1800年のイギリス』  
 女性観 ノイマン『グレート・マザー』, ヤーロム 『妻の歴史』  
 

暗誦アップロードの問題点を修正しました。(7月9日)

    ■提出物および〆切: (1)「嵐が丘」メダリオン:7月2日 授業開始時
                   (2)200字意見文:7月4日 授業開始時  ◆課題内容はここをクリック
                   (3)暗誦アップロード: 7月22日(水)正午 ■課題内容はここをクリック

   

  



授業資料をクリックしてもファイルが開かないという指摘がありました。PCではIE Chrome Firefox Safariのいずれでも正常に動作します。なおファイルを開くにはパスワードが必要です。



「嵐が丘」資料ファイルがファイルが開かないという指摘がありましたが、PCでは正常に開きます。

 授業資料:読んでおくべき本にはリンクが貼ってあります。     
 1. 恋愛は結婚に至らない、結婚は恋愛を保てない(改訂版)
Gillian Flynn, Gone Girl (2012) , 村上春樹『ノルウェーの森』(1987)

サン=テグジュペリ『星の王子様』(あのときの王子くん)

 2. 聖書が示す恋愛と結婚愛:
(1)結婚:恋愛と夫婦の狭間、そして必要なのは愛それとも金
(改訂版)
   ◇Erich Segal Love Story (1970) -『ある愛の詩』
   ◇『ホガースの銅版画-英国の世相と諷刺』 (双書美術の泉)
   ◇John Milton, Paradise Lost (1664) 第4および6巻 
  ◆翻訳: ミルトン『失楽園 上』(岩波文庫) あるいは新井明『楽園の喪失』
   ○配布課題チョーサーからミルトンへ
(2) 恋愛・結婚・夫婦の根底にある罪
   ◇John Milton, Paradise Lost (1664) 第8および9巻 
   ◆翻訳: ミルトン『失楽園 下』(岩波文庫) あるいは新井明『楽園の喪失』
   ○配布課題幼い夫婦と罪
3. 恋愛にはパタンと教養が必要:
(1)シェイクスピアとはどういう作家か
(2)「ロメオとジュリエット」を読むための文学的基礎
(3) 「ロメオとジュリエット」の背景にある愛の観念
  
◇William Shakespeare, Romeo and Juliet (1595):
   ◆翻訳 中野好夫『ロメオとジュリエット』(新潮文庫) あるいは
       松岡和子訳『シェイクスピア全集 (2) ロミオとジュリエット (ちくま文庫)

   ○配布課題あらすじと恋愛詩
   ◇配布課題:記念メダルの作成 
6月4日授業時提出
4. 中間:
小テスト  穴埋め問題 6月4日授業時


「君の体をおおっているその美しい姿は/僕の心がまとう見事な衣装だ。僕の心が君の胸に生きているように/君の心は僕の胸に生きている」(シェイクスピア『ソネット集』22番)
.恋人とたがいに心を取りかえあうというのは、恋愛詩の慣習的な発想。 
200字意見文
(1)3つの課題から一つ選びなさい。
課題ファイル
(2)選んだ課題について意見を原稿用紙に書きなさい。
200字原稿用紙  
(3)記載した原稿用紙は、授業時(6月11日)に提出すること。
(4)学籍番号・名前は原稿用紙欄外右下に記載すること。
 
 
作品暗誦■ 

(1)自分で暗誦場面を動画で撮り、下記にアップしてください。

https://fx.nanzan-u.ac.jp/public/ZLxIAAiMvgXAc6QBwOVNKz5xmT2L-XneEf_PmkEOvBlF

(2)PWは授業時に教えたものを使ってください。

(3)ファイル名は学籍番号にしてください。

暗誦対象作品:(下記から一つ選ぶこと)
”Methought I" (1行目~4行目)
”Hail Wedded Love"ここから引用の最後の行まで
"Gather ye rosebuds"(1行目~4行目)または(10行目~14行目)

(4)ファイルアップロードの〆切  6月3日(水)正午

5-1 深い相思相愛は結婚愛へと成就しない
『嵐が丘』の背景、結婚愛、ヒースクリフとキャスリン(改訂版)

Emily Bronte, Wuthering Heights (1847)

◆翻訳 河野一郎 訳 『嵐が丘』(集英社文庫) あるいは 河島弘美訳(岩波文庫 キンドル版有)  

 
 5-2 ヒースクリフとキャスリンのメダリオン作成
提出〆切  7月1日(木)授業開始時

 

6. 恋愛から結婚へと主導権を握る女性

 連帯を流通させる結婚、そして流通を引き起こす花嫁の正体
William Shakespeare, The Merchant of Venice (1598)
◆翻訳 小田島雄志訳『ヴェニスの商人』 白水Uブックス [Kindle版] あるいは 安西徹雄訳『ヴェニスの商人』 (光文社古典新訳文庫) [Kindle版])

 Portia as a judge
 
7-1■200字意見文:『嵐が丘』
(1)課題ファイル
(2)意見を原稿用紙に書きなさい。
200字原稿用紙  
(3)記載した原稿用紙は、
7月4日 授業開始時に提出すること。
(4)学籍番号・名前は原稿用紙欄外右下に記載すること。
 
 
7-2 作品暗誦■ (7月9日修正)

(1)自分で暗誦場面を動画で撮り、下記にアップしてください。

https://fx.nanzan-u.ac.jp/public/oLnIAADMuAXA8hUBHglOJhNyMq-ZoIjRNmwNVhyMTy9W


(2)PWは、前回の暗誦の際に利用したものと同じです。
     PW末尾は   e c f    です

(3)ファイル名は学籍番号にしてください。

暗誦対象箇所:
She took me to her elfin grot,
And there she wept and sigh'd full sore;
And there I shut her wild, wild eyes
With kisses four.

"And there she lullèd me asleep,
And there I dream'd – ah! woe betide!
The latest dream I ever dream'd
On the cold hill's side.

"I saw pale kings and princes too,
Pale warriors, death-pale were they all:
They cried, 'La belle Dame sans Merci
Hath thee in thrall!'

"I saw their starved lips in the gloam
With horrid warning gapèd wide,
And I awoke and found me here
On the cold hill's side.

(4)ファイルアップロードの〆切  
7月22日(水)正午

 

8. 恐るべき女の愛の力
 男性を貪り食う運命の女
John Keats, "La Belle Dame Sans Merci" (1884)

注釈と翻訳

 
 
F Cadogan Cowper La Belle Dame Sans Merci 1925
 9. 地位と安定を目指す結婚が永続する不思議
◇Jane Austen, Pride and Prejudice (1813)
『自負と偏見』中野好夫訳(新潮文庫)あるいは『高慢と偏見』(小野美佐訳 光文社 キンドル版有)

あらすじ

 
『高慢と偏見』は、「あらすじ」のみが試験範囲です。授業資料はありません。
 
Isabel Bishop (1902–1988)
The Examination of All the Letters Which Jane Had Written to Her