ネストールの高盃

 

エンブレム101

 

ネストールの、二重の台座がついたこの高盃、銀の重い固まりで

できているこの品物を受けとりなさい。

鋲は黄金でできていて、まわりには四つの取っ手がついている。

おのおの取っ手のうえには、黄金製の鳩がすわっている。

ただ年寄りのネストールだけがこの盃をもちあげることができた。

  マエオニアの詩人のムーサはそれでなにをいいたかったのかを、教えてくれ。

高盃そのものは天であり、盃の銀は天の色である。

  鋲は天空の黄金の星々である。

詩人が鳩といっているものは、七人娘プレイアデスと、考えられている。

そっくりな一組の突起は、大熊と小熊。

こうしたことを、賢明なネストールは長年の経験から知っていた。

強者は戦争をやり、賢者は星をつかむ。

 

 

 

 

私たちを超越していることは、私たちには無関係

 

エンブレム102

 

コーカサスの岩場で永遠につるされているプロメーテウス1は、

  聖鳥のカギ爪で肝臓を引き裂かれている。

そして人間をつくらなければよかったと思っていた。陶工たちをひじょうに嫌い、

盗んだ火でともされたたいまつを呪っている。

天空と神々の浮き沈みを知ろうと努力する慎重な人たちの心は、

さまざまな配慮でむしばまれている。

 

 

 

 

占星術師たちへ

 

エンブレム103

 

イカロスよ、蜜蝋がとけて君がまっさかさまに海におちるまで、

君は空から投げだされ中空をきるが、

今や、その同じ蜜蝋と火とが、君を空へともちあげている。

  君は自分を具体例として、確かな教えをたれようとしているからなのだ。

ともかく予言をする占星術師たちには、気をつけよ。山師は

  星をこえて飛んでいくのに、落ちるときはまっさかさまだ。

 

 

 

 

高き事柄を瞑想するものは、悲しむ

 

エンブレム104

 

鳥モチでツグミを、またヒバリをわなにかけ、

  射た弓矢が天高く飛ぶ鶴を射ているうちに、

蛇を、慎重でない捕鳥者は足で驚かしてしまう。

  蛇はそんな不幸にあって、口から毒を吐いてなげつける。

そのように、ひきしぼった弓をもって星をじっと眺める人は、

  足もとに転がっている不運には不注意だ。