用心深さと徳力によってなみはずれた強き欺き手

  キメラに打ち勝つこと。

 

エンブレム14

 

強き馬乗りベレロポーンはキメラに打ち勝ち、

  そしてリキュアの地の怪物どもを殺すことができた。

同じように、君もペーガソスの翼に乗って、天上めがけて進み

  用心深くあり、傲慢な怪物どもを治めるのだ。

 

 

 

眠らずに用心し見張る。

 

エンブレム15

 

ときの声を上げる雄鶏は、朝があけると知らせ、疲れた手を

  新しい一日の仕事へと誘うから、

そして銅製の鐘は、眠らずに用心する心を天上のことへと誘うから、

  だから聖なる塔の上に描かれている。

しかも見張りとしてライオンがいる。ライオンは目をあけて眠るからだ。

  そのためにライオンは神殿の扉の前にいるのだ。

 

 

 

しらふであれ。無分別に信ずることのないよう

  心がけよ。これらが精神の手足である。

 

エンブレム16

 

「信じるな。思慮深くあれ。

  これを人間精神の筋肉と手足にせよ」とエピカルモスはいっている。

見てはじめて信じる、目のついた手をみよ。思慮を深めるため

  昔から使われいる野菜、ハッカをみよ。

ヘラクレイトスは、この植物を見せて、ふくれあがった不和で

  はちきれんばかりの群衆を落ち着かせ、なだめた。

 

 

 

どこで私は間違えたのか。何をしてしまったのか。あるいは、

  どんな義務を怠ったのか。

 

エンブレム17

 

イタリアの教団の創始者であるかの有名なサモスの人は、

  自分の教えを短い詩にしてまとめた。

「どこで行きすぎたのか。何をしたのか。すべきことで何を怠っているか」。

  そして、これをおのおのが自分に釈明できるように勧めた。

伝えるところによると、群からはずれないように、

  また具合の悪い風が吹いてコースからはずれないようするため

足で石をつかんで飛んでいく一群の鶴から、これを教えたという。

  この規則にしたがって、人生は治められるべし。

 

 

 

賢明な人(弁論提題)

 

エンブレム18

 

双面のヤーヌスよ、すでに決まったこと、やがて起こることを確実に知る者よ、

  前面においてそうであるように、後面で嘲りの笑いをみる者よ、

どうしてあなたが描かれるときには、こんな多くの目、こんな多くの顔があるのか。

  あなたの姿によって、人間は周囲を見渡し賢明であったを教えるためなのか。

 

 

 

多弁よりも思慮深さがまさる。 

 

エンブレム19

 

鳥のなかでも健全な思慮の持ち主のフクロウが、

  ケクロプスの末裔のアテネ市の紋章となっている。

フクロウは、武装した女神ミネルウァに仕え、それにふさわしく、

  かつてはおしゃべりカラスが占めていた聖鳥の地位にいる。

 

 

 

熟すこと。

 

エンブレム20

 

すばやく熟し、時間をかけろ、無鉄砲すぎるな、

  あまりぐずぐずするなと、だれしも命ぜられる。

これをはっきりとあなたに示すのは、小判鮫が体を巻きつける矢。

  小判鮫はゆっくりだが、手から放たれた矢は疾走する。

 

 

 

しっかりとつかまれているものへ

 

エンブレム21

                                                       

「どこをどのように逃れようと、これまでずっと追いつづけてきた。しかし今

  おまえはとうとう私たちの罠にかかり捕まっている。

もはや、私たちの力から逃れることはできないだろう」。

  イチジクの葉で鰻はつかむべし。

 

 

 

処女は保護されるべし。

 

エンブレム22

 

これは未婚の女神アテーナーの真像。アテーナーの

  龍がほら、この女主人の足元に立っている。

どうしてこの動物が女神のお供をしているのだろうか。宝のを守るのが

  龍の勤めなのだ。同様に、蛇は森と聖なる神殿とを保護するものだ。

未婚の娘はいつも目を離さずに保護しておくことが必要。

娘がかわいいなら、いたるところに捕縛の罠をしかけておく。

 

 

 

酒で賢明は増す。

 

エンブレム23

 

まさしく神ゼウスの子孫である父バッカスと女神アテーナーの二人が

  いっしょになってこれらの神殿を共有している。

アテーナーはゼウスの頭から、バッカスは腿(もも)から生まれた。

  アテーナーのおかげでオリーブ油が使え、バッカスは酒の第一発見者。

二人が結びつくは当然。だが、もし禁酒家がいて酒を

  嫌うなら、女神からの助けをなんら感じないだろう。

 

 

 

賢明な人は酒を避ける。

 

エンブレム24

 

蔦よ、どうしておまえたちはわたしを苦しめるか。わたしは女神アテーナーの樹。

  ブドウの房をどかしておくれ。乙女はブロミノスを避けるのだ。

 

 

 

バッカス像にむかって。

 

エンブレム25

 

        対話

「父バッカス様、誰がその目であなたを見て知っているのですか。

  すぐれた手さばきであなたの体を作った人は誰ですか」。

「プラクシテレスだ。あの男、クレタ島の少女をわしが奪うところを見たが、

  あのときのようなわしの姿を描いてくれたわい」。

「ピュロスの老ネストルよりすぐれているのに、どうして

  柔毛の髭がまさに顔に咲く若者の姿なのですか。

「わしからの贈り物を適度に控えることを学ぶなら、

  いつも歳より若く、気も丈夫になるだろう」。

「手にはタンバリンがまさにあり、頭には角が確かに生えています。

  こうした印はまさしく気違いにのみふさわしいのではありませんか」。

「それはじゃなこういうわけだ。わしからの贈り物を目茶苦茶に使うと

  角が生え、正気を失い、心をやわらげるシストルムを振ることになる」。

「火のように燃えている体の色にはどんな意味があるのですか。

  口に出すのもはばかれますが、ご自身が人間たちの祭壇で焼かれるのですか」。

「わしの父ゼウスが、セメレーの胎内から、火の吹き出る雷霆でわしを

  引きだしたとき、父は灰だらけになったわしを水に浸した。

そういうわけで、わしを澄んだ水でよく混ぜて、

  燃え上がる火で肝臓を焼かれない人は賢く味わう」。

さて、ではお教えください、酒はどのように混ぜるがよろしいのかを。

  どんな規則にしたがってあたな様を飲めば、分別を失わず安全でいられるのかを」。

「ファレルノのブドウ酒を一杯飲みたくてしかたがないなら、

  三杯分の水を加えよ。このようにした杯をあけるのが肝要。

酒は半合までに抑えておけ。この限度を越えて飲むと、最初は

  陽気になるが、すぐに酩酊し、しまいには錯乱する」。

これはあまりにも厳しすぎる飲み方。喉は大きく開き、

  お前はなめらかに流れる。ああ、快いものは思い通りに落ちてこないのか。

 

 

 

 

エンブレム26

 

ファビウスが持久戦によってハンニバルとカルタゴの人々を壊滅させたあとで、

  元老院議員は草の小冠を与えた。

ヒバリは自分のためにしなやかな草で巣を隠す。

  そうやってヒバリは雛鳥を守るのだと、世間ではいっている。

サトゥールヌス神とマールス神に奉献する草、これを食べて、ポリュエイドスの息子

  グラウコスは神になったと信じられている。

こうした不思議な結びつきは、保護と救助をうまく示している。

  指の大きさにも満たないこの草はこんな大きな力をもっている。