勇者の標章。

 

エンブレム33

 

小対話

「ゼウスの鳥よ、どんな理由からあなたは

  偉大なアリストメーネスの墓に座り屹立するのですか」。

「こう忠告しているだ。私が鳥のなかでも力強さにおいて勝るように、

  半神のなかでもアリストメーネスが勝っているのだと。

臆病なハトは臆病者どもの墓に座らしめよ。

  鷲は恐れを知らない人々に吉兆の印を与えるのだ」。

 

 

 

耐え、そして自制せよ。

 

エンブレム34

 

苛酷な運命をこうむる者は、その運命に耐えなくてはならない。

  そしてまた、あまりに幸福な者はその運命にしばしば恐れるべきである。

「耐え、そして自制せよ」とエピクテートスはよくいったものだった。

  多くのことに耐え、不正なことには手をさし控えねばならない。

こういうわけで、右ひざがしばられた牡牛は、主人の命令に耐え、

  こういうわけで、孕んだ牝牛から身を避ける。

 

 

 

おべっかを使うことを知らない人に。

 

エンブレム35

 

テッサリアの地がなぜあれほど多く領主を替え、またさまざまな指導者を

  持つことを求めるのか、あなたは知りたがっている。

テッサリアはおべっかを使うことを、まただれに対しても甘い言葉で誘うことを

 知らないのだ。使い誘うことが、どこの王侯の宮廷でも慣習だというのに。

そして、テッサリアは自由な荒馬のようにあらゆる人を、

  馬を統御することも知らないような馬丁をもその背中から振り落とす。

けれど、支配者がそれに怒ってもしかたがない。報復したいなら、支配者は

  馬に命じるとき轡(くつわ)を激しく引くことだ。

 

 

 

圧力にたいして堅固でなくてはならない。

 

エンブレム36

 

重さをかけられてもヤシは堅固で、アーチ状になって立つ。

  押されても押されても、同じ力でヤシはおもしを持ち上げる。

ヤシは、食卓で最初に出される名誉をになった

  甘いデザートの薫りよい実をつける。

少年よ、進め。はってヤシの枝から実を集めよ。堅固な精神を

  持つ人は、価値ある報酬を持ち去るものだ。

 

 

 

自分の所有物をみんな私は持ち歩く。

 

エンブレム37

 

スキティアの海でもっとも惨めな貧乏の人のフンが、

  いつも寒いので鉛色に体を焼かれている。

フンは穀物女神ケレースの富も、酒神バッカスの贈り物も知らないが、

  いつも貴重な寝具を持っている。

なぜならネズミの皮衣で体中を包んでいるからだ。

  ただ目だけが出ていて、あとは全部隠して生活している。

こういうわけで、フンは泥棒をまったく恐れず、また風雨をものともしない。

  人の住む国でも安全で、神々の国にあっても安全だ。