放埓さ

 

エンブレム72

 

こめかみにアブラナの花冠をつけた、ヤギ脚のファウヌスは、

  過度の愛におきまりのシンボルをもっている。

アブラナは催淫剤で、ヤギは欲情のシンボル。

  たしかに、サチュロスはニンフを愛するのを常としている。

 

 

 

放蕩者の富

 

エンブレム73

 

天にもとどく岩場や、高い崖のへりに

  まだ熟していないイチジクの木が苦い実をつける。

それをカラスたちが食べ、邪悪な大ガラスがむさぼり喰う。

  人間にはまったく何の役にもたたないのだ。

同じように食客と娼婦は愚か者の富をいただき、

  そこからなんの利益も正しい人はえないのだ。

 

 

 

娼婦の墓

 

エンブレム74

 

「これは誰の墓だ。誰の骨壷だ」。「これは、コリントのライスのもの」。

  「ああ、運命はこれほどの美しさを滅ぼすことを恥じずに行ったのか」。

「そのとき往年の姿はなかった。老年があの姿をすでに奪っていた。

  抜け目のないこの女はとっくに鏡をヴィーナスに捧げていたのだ」。

「彫りこまれた牡羊はなにを望んでいるか。そいつの後ろを

  牝ライオンがその爪で押さえつけているけれど」。

「これはまさしく囚われた者。つまり、牝ライオンが自分の愛人を捕まえているのだ。

  牡羊は群れの主であり、愛する者は尻をつかまれているのだ」。

 

 

 

売春婦を愛するものたちへ

 

エンブレム75

 

けむくじゃらの牝山羊の覆いを身にまとった漁夫は、

  なんと自分の頭に二本の角をつけた。

そして海岸の縁にたって、好色なボラをだます。

  ボラは鼻が平らな群に情火を燃やし、網にかかってしまう。

牝山羊は娼婦を思い起こさせる。ボラは愛する男に似て、

  (可哀相なやつめ)、汚れた愛にとらわれて滅んでしまうのだ。

 

 

 

売春婦にはご用心

 

エンブレム76

 

<太陽>の娘キルケーの力はきわめつきで、多くの人々を

  奇怪な怪物に変えたといわれている。

その証人は、馬の調教者ピクス、そして半人半獣のスキュラ、

  キルケの酒を飲んだあとで豚になったイタカ人。

有名なキルケーは娼婦をあらわしている。

  キルケーを愛するものは誰でも精神の理性を失った。

 

 

 

ヴィーナスの護符

 

エンブレム77

 

陰部を野猪の角で突き刺されて息たえたアドーニスを、

  ヴィーナスはレタスの葉でおおう。

このため、催淫のキャベツでもまず刺激を与えることができないほど、

  実り豊かな耕地[陰茎]をレタスは萎えさせてしまう。

 

 

 

キューピッドの矢に無傷

 

エンブレム78

 

災いもたらす愛の神(アモール)があなたに勝ち、また、どこかの女が

  魔法を使ってあなたの心をずたずたに引き裂くことのないように。

四本の軸になって円球に入れている白色セキレイ−−バッカスの鳥−−が

  あなたに仕えるように準備なさい。

嘴、尾羽、両翼で十字を包むようにしている、

  そういうものがあらゆる魔術へのお護符(まもり)となるでしょう。

このヴィーナスの印でペガソスのイアソンは

  コルキスの女の奸計に無傷だったといわれている。

 

 

 

 

放埓

 

エンブレム79

 

白ネズミたるテンは贅沢、放蕩をあらわすと信じられている。

  しかし、そのわけは私には十分はっきりとしない。

テンは好色な性格で、多淫だからだろうか。

  あるいはテンはその毛皮でローマの婦人を飾っているからだろうか。

多くの人がサルマテイア・ネズミをクロテンと呼び、

  アラビア小ネズミは香りのよさで有名である。