貪欲

 

エンブレム84

 

ああ、タンタルスは、あわれにも沼のなかにいながら喉を乾かしている。

  そして腹をすかながらも、もっとも手近の実を食べることができない。

もし名前を変えれば、貪欲な者よ、これは君にもあてはまる。

  自分の所有物をまるで持っていないようにして、その恩恵にあずからない君に。

 

 

 

守銭奴にたいして

 

エンブレム85

 

万人のなかで一番の金持ちのセプティティウスは、

  どんな老人よりも広大な土地を所有している。

自分の食欲を欺いて、準備済みの食事−−といってもそれは

  トウジサと苦いカブラ−−をがつがつと食べる。

豊かさのおかげで貧しくなっているこの者を、なに喩えようか。

  ロバに似てはいないか。そうだ、これはロバに似ている。

というのは、ロバは値のはるごちそうを背負いながら

  貧乏人として、野バラや苦いアシを食べているから。

 

 

 

宮廷人について

 

エンブレム86

 

虚栄の宮廷が育てる廷臣は、

  黄金の足かせでつなぎとめられているといわれている。

 

 

 

不浄について

 

エンブレム87

 

ナイル河をいただいた国で有名なトキは、

  浣腸をするように、嘴で腸を洗い流した。

その名は恥辱の別名となった。そのために、プブリウス・ナーソーは

  その名を自分の敵につけ、またバトゥスの息子は自分の敵につけている。

 

 

 

公の不幸から金持ちになった人について

 

エンブレム88

 

ウナギをつかまえようとして、仮に澄んだ川をさらっても、

  また、濁っていない川辺の溜まりにあえてはいっていても、

無駄だろうし、時間の浪費だろう。だが、もしも細かな泥土の川床を

  たくさん掘り起こし、透明な水を櫂で立ち騒がす人は、ウナギを

たくさん捕まえるだろう。同じように、平和時に法に規制されて

  腹をすかしているものには、乱れた国家はもうけものだ。

 

 

 

貪欲な者。たとえば外国人から優れた条件を出される者について。

 

エンブレム89

 

イルカの上にすわっているアリオンは青い海を切るようにして突き進む。

  独特の調べでイルカの耳をなだめ、口につけた手綱をとる。

動物の心は、貪欲な人間のように残酷ではない。

  私たちは、人間に略奪され、魚に救われるのだ。