美食

 

エンブレム90

 

鶴のような食道をもち、ふくれた腹をしている男が描かれている。

  手にはカモメとペリカンをもっている。

ディオニュソスはこんな姿をしており、またアピキウスもそうだったし、

  また美食にひたることで有名になった人々もそうだ。

 

 

 

オクノス像。めかけにあげてしまい、もっと有効に使うべきところに使わない人について

 

エンブレム91

 

勤勉に休まずにエニシダから縄を編んでいる。

  湿った紐をその巧みな手で結びあわせることをやめない。

だが汗水流して長時間にわたり縄をよっても、

  よるそばから、怠惰で貪欲な腹をもつ雌ロバは喰ってしまう。

女という怠けものの動物は夫がためた富を、言いなりになるからといって奪い取り、

  自分を飾るためにそれを浪費する。

 

 

 

食客について

 

エンブレム92

 

あなたにさしあげるこれらのザリガニを受け取りなさい。

  こんな贈り物こそ、あなたの性格にふさわしい。

このカニたちは、注意深い目をし、とてもたくさんの足をもち、

  はさみで武装し、この上なく大きな腹をしている。

あなたの腹にもまた肥えた贅肉が下がっていて、

  素早い足と、足にふさわしい刺がある。

あなたは、人々のよく行く所を歩き回り、食席をうろつきながら、

  他人にかみつき、辛辣な皮肉を投げつける。

 

 

 

小さな台所では二人の大食漢に十分でない。

 

エンブレム93

 

とるにたらない資力では、利益を得ようにも無理だ。

  たったひとつの木立では二匹のコマドリは育たない。

 

別句

かぼそい資力では、もうけを望めない。

  たったひとつの木立では二匹のベカフィーコはうまく住めない。

 

 

 

大喰いのために捕まって

 

エンブレム94

 

食物の主(ぬし)にして、主人の食卓をかじる者である

  ネズミは、特上の唇をもったカキたちが口を開いているのを見つけた。

ネズミは自分の柔らかい髭をその口にあてて、いつわりの骨を噛んだ。

  ところが、カキは触れられると、突然、その家を閉じた。

このこそ泥を身の毛もよだつ牢獄に閉じこめたのだ。

  捕まったネズミは、自らを暗い墓場に委ねたのだった。

 

 

 

おしゃべりと美食好きへ

 

エンブレム95

 

引き裂くような声をあげ、長大な喉(のど)をもち、その嘴(くちばし)は、

  鼻のようでもあり、たくさん穴が開いたラッパに似ている。

これが鳥のペリカンとして描かれているなら、腹と喉にやみつきになっている

  姿醜い三百代言をあらわすことだろう。

 

 

 

教師たちのあだ名

 

エンブレム96

 

昔から習慣になっているが、教師には、

  その人にちなんだあだ名がつけられている。

簡単明瞭な箇所だけを解説する

  クルティウスは、<規格>と呼ばれている。

同じ箇所をああでもないここでもないと、くどくどと話す

  パリシウスのような教師は、<蛇行(マエアンデル)>。

[解説が]極端に短かく、端折(はしょ)りまくるクラウディウスのような人は、

  <剣先(けんさき)>というあだ名がついている。

柱までをも崩さんばかりの声をはりあげるパルパルスは、

  学生から<ペリカン>といわれている。

さてその反対に、アルビウスはか細い声なので

  <蝙蝠(コウモリ)>という呼び名だ。

末尾をぶった切って、言葉じりをにごす。

  クラッススは<舌きりスズメ>と呼ばれている。

他の人のいうことに耳をかさず、自分一人だけ話したがる教師は、

  諺にいう<ムクドリ>のようだ。

この先生は舌もつれで発音し、あの先生はしゃがれ声をだし、その先生は早口でわけのわからないおしゃべりをする。

  この先生は毒ヘビのようにシューシューと音をたてる。

あの先生は、鼻の穴を大きくあけ、唇もさかんばりにしてわめきちらし、

  この先生は、舌が小型の錐(きり)になっているし、

一息いれては、咳ばらいをして口ごもる先生もいる。

  屋根から落ちる滴のようにつばをかける先生もいる。

人間の行いに多くの短所があっても、それにふさわしい名前にはことかかないのだ。