▶英訳を考える◀【状況:買収】日本企業がアメリカ企業を乗っ取る


政府の保護主義者たちは、日本の製鉄業者がUSスティールを買収するのはいかがなものかと(わめ)いているが、その姿には苦笑いが浮かんでくる。自分たちが行った産業政策や関税障壁などが、今回の外国によるアメリカ製造業の象徴的な存在買収につながっているという皮肉をどうやら見落しているようだ
◇英訳◇
We have to admit to a smile as Washington’s protectionists howl about Japanese steel manufacturer’s deal to buy U.S. Steel. They apparently miss the irony that their tariffs and industrial policy have resulted in the foreign takeover of an iconic U.S. manufacturer. (WSJ)

■ここに注目■
【1】《語法:名詞》 買収する買収は、英語が名詞表現中心であるために deal, takeover となるが、日本語では名詞ではなく動詞表現が中心となるために、場合によっては英語の名詞を動詞に変える必要がある。
【2】《語法:動詞》 いかがなものかと(わめ)いては、威嚇して大声をあげるということなので、howl about. スピーカーがキーンと音を立てるのは英語で howling というが、スピーカーの音声が「キーンと鳴く」というイメージに由来する。
【3】《語法:接続詞》 “X、Y” は、XとYが同時進行なので接続詞は as.
【4】《語法:名詞》 苦笑いが浮かんでくるは、日本語では自然に~となるという自発表現になっているが、英語では日本語のこうした自発表現をしないのが通常。代わりに、「私たちが、状況に対して笑ってしまうことを強制される」という表現になる。なお admit to X で、Xをしぶしぶ認めるという意味。例 環境保護者たちは、その石油業者が再生エネルギーに向かうという発表を聞いて、満足しているととりあえず言わざるをえなかった。 The environmental activist had to admit to a sense of satisfaction when the oil company announced its move towards renewable energy sources.
【5】《語法:形容詞》 象徴的な存在symbolic とすると、iconicのように業界を代表するという意味ではなく、なにかもっと大きな文脈で別な事態が進行していることをあらわしていることになってしまう。
【6】《語法:副詞》 どうやらようだは、目下の外見から判断すると、~と推測できるということなので、 apparently. 形容詞 apparent は、~であることが明白であるという意味だが、副詞になるとこのように意味合いが変わる。


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