私自身にたえず言い聞かせていることがあります。英語のネイティブ感覚を身につけて、日本人に独特の紋切り型英語感覚に研きをかけようです。なぜなら、それは新しいものの見方につながる第一歩だからです。
JAWSは、日本語では顎(あご)にあたりますが、日本語で顎というと、通常は下顎のみをさしますが、英語ではjawsと複数形になっているように、上下顎です。
JAWSは映画として知られていますが、原作となった小説(Peter Benchleyの同題名)があります。その一場面に、砂浜で、息子が母親にむかって、ビニール・ボートで海に出てもよいかと尋ねるシーンがあります。
息子:Can I go out on my raft?
母親:Out where?
息子:Just out there a little ways
息子は、退屈しているので、気晴らしにビニール・ボートに乗りたいのですから、
I want to go out on my raft.
といってもよいはずなのに、わざわざ Can I….? と尋ねています。文法書のなかには、 I want to…. よりも Can I….? の方がていねいになると書いてありますが、なぜ助動詞をつけると、ていねいになるのでしょうか。
次に母親は、ボートに乗って「どこへいくの?」と息子にたずねます。日本語の発想からすれば、この母親は、
Where do you want to go out?
と、はなりますが、母親は “Out where?” といっています。文法書のよくある省略という説明では、
Where (do you want to go) out? → Where out?
となるはずです。しかし母親は、 “Where out?” ではなく、 “Out where?” といっています。なぜ “Out where?”が自然な英語として通用するのでしょうか?
こういう疑問に対する回答は、文法書、英作文解説書でも、いつも個別になされ、無数のケースについて、それぞれ覚えるということをしてきました。
しかしネイティブスピーカーの感覚は、二元対立が基本だということがわかると、二元対立の項目をいくつか立てることで、英語の使い方の原則がおもしろいようにみえてきます。
それはちょうど下敷きの上に砂をまくと、一粒一粒の砂がまったくバラバラに散らばりますが、下敷きの下に磁石を置くと、砂がある一つの綺麗な図形を描くようになり、バラバラだったものがすっきりと見えてきます。二元対立を基本とした二元対立の項目は、この磁石の働きをしてくれます。
このサイトでは、二元対立項目を使いながら、英文法を出来る限り、スッキリと提示していきます。