◆戦争◆ 恥をかかないための戦い

Deponendique pudore/bella gerunt.

デーポーネンディケ・プドーレ/ベッラ・ゲルント

そして途中で辞めては恥になるので、戦争を続ける。

(オウィディウス『変身物語』14巻571-2行)

■解説■
  イタリア半島のラティウム王国の支配権をめぐり、異国トローイアからの新参者アエネーアースがイタリア在来の英雄トゥルヌスと争う。この争いの発端は、ラティウムの王ラティヌスの一人娘であるラーウィーニアがトゥルヌスの許嫁(いいなずけ)であったにもかかわらず、王がその約束を反故(ほご)にして、アエネーアースの妻にしようとしたことであった。ラーウィーニアを妻にした者が、嫁資(かし)として王国の領土とその支配権を手に入れることになるので、トゥルヌスには約束違反が許せなかった。イタリア諸民族を動員して、アエネーアースとトゥルヌスとの大規模な戦いが繰り広げられるが、途中からは支配権獲得という大義よりも、相手に勝つこと、そして相手を殲滅させる前に戦争を辞めることは恥という、この2つの観念に支配されて戦争が続いていった。

他国の援助要請から帰還したアエネーアースがトゥルヌス軍と戦う(1615頃)

▶比較◀

(だい)なりといえども 戦いを好めば必かならず亡ぶ。

(菅原為長 編『管蠡抄(かんれいしょう)』3[?13世紀初])

■解説■
 たとえ国が強大であって、戦争を次々と行えば、必ず衰亡する。