最上級の後ろの前置詞
最上級の表現の場合には、一番~というのですから、「何のなかで一番~」と、~が含まれるグループなり、~が所属する場なり、~がそこにありえるものなりが提示される必要があります。このグループ・場・ありえるものなど範囲が提示されないと、どうして一番~なのかがわからなくなってしまいます。
(1) This question is the simplest question in this math exercise book.
(2) That student is the quickest runner in his school.
(3) Which city is the coldest in the United States?
このように、範囲を示す語句の前に付く前置詞はin が圧倒的に多いのですが、of がくることもあります。
(4) “Scared” is the strongest of these adjectives.
(5) The giraffe is the tallest of all animals.
(6) Akira Kurosawa was the youngest of seven children.
A of B の形では、Aにof B が加わることによって、AがBのなかの一員であることわかるようになります。一員という説明だけですと、たとえば(3)の場合には、アメリカという国の一員としてもっとも寒い都市があるではないかと思ってしまいます。ここでの一員というのは、AはBと同類で、同類Bのなかのひとつという意味です。(3)の場合でいえば、アメリカという国と寒い都市、国と都市とは同類ではありません。(1)の場合も、練習問題と練習問題集は同じレベルの集合ではありません。(2)の場合になるとなおさらこれははっきりとし、ランナーと学校は同類ではありません。
ところが(4)から(6)の例は、最上級の後に名詞を補うと、いずれも”A of B” の形でAとBが同類であり、AはBの一員になっていることがわかります。
(4) “Scared” is the strongest (adjective) of these adjectives.
(5) The giraffe is the tallest (animal) of all animals.
(6) Akira Kurosawa was the youngest (child) of seven children.
ですから、学校で一番速いランナーという場合と、チームメイトのなかで一場合速いという場合には、前置詞が異なってきます。
(2) That student runs quickest in his school.
(7) That student runs quickest of his teammates.
”A of B” の形では、AとBが同類、AはBの一員ということがわかると、次のような英文も書けるようになります。
(8)The greatest of enterprises can end in failure.
もっとも偉大な企てさえも、失敗に終わりうる。
私たちが(8)の和文を英文にするときには、of をつけず“The greatest enterprises”と書いてしまいますが、「最上級+限定」という原則がネイティブの頭の中にあるので、ofが必要だと感じられてしまうのです。
なお「人生における最良の日」というときには、
(9) My wedding day was the happiest of my life.
のように、”the happiest in my life”よりも”the happiest of my life”の方が使用頻度ははるかに高いようです。それは、人生 life が「生きている日数」として意識されるからでしょう。
