❖言葉❖ 沈黙の力と語る技
Qui nescit tacere, nescit et loqui.
クィー・ネスキト・タケーレ、ネスキト・エト・ロクィー
黙することを知らない者は、話すことも知らない。
(プブリリウス・シュルス『格言集』)
■解説■
言葉を使う能力があるだけでは不十分であり、いつ、何を、どのように話すべきかを知るためには、まずいつ黙すべきかを知る必要がある、ということです。これは、弁が立つことと同様に、あるいはそれ以上に、沈黙が持つ力や意味を理解することの重要性を示唆しています。自己の感情や思考を適切に制御し、思慮深いコミュニケーションを行うための重要な原則を示しています。

▶比較◀
知る者は言わず、言う者は知らず。(知者不言、言者不知)
(老子『道徳経』第56章)
■解説■
「本当に物事を知っている者は軽々しく口にせず、逆に、むやみに喋る者は本当は何も知らない」。沈黙の重要性が浮かび上がらせる名言だが、その深層では、「道」は言葉で完全に表現できるものではなく、深い理解はむしろ言葉を超えた沈黙の中にあるという思想が込められています。
ラテン語格言も老子の名言も、「発言」と「沈黙」という一見正反対の行為が、実は深く結びついていることを教えています。しかしこの格言は、自己制御や思慮深い言動が重要であり、不必要な多弁を戒め、熟慮の上で的確に語ることの大切さを説いているのにすぎません。こうした実践的な教えに対して、老子の言葉には、人格や境地の違いに焦点があります。
