◆頑張り◆ ここが踏ん張りどころ

Hoc opus, hic labor.

(散文)ホーク・オプス・ヒーク・ラボル

これが難関、ここで骨が折れる。

(ウェルギリウス『アエネーイス』6巻129行, オウィディウス『恋愛術』1巻453行)

■解説■
 

 トロイア人の英雄アエネーアースは、新都を建設すべくイタリアに到着するが、その際に、アポッロー神殿のあるクマエに行き、神殿の女預言者シビッラのもとで今後の託宣を受ける。託宣をしっかりと受けとめると、英雄は預言者に、亡き父に会いたいので、冥界に下る許可と手助けを求める。預言者は、冥界に下ることは容易だが、冥界から地上に戻るその道のりが厳しいと諭す。その諭したときの言葉が、この名句。
 女性を自分のものにする手管を綴ったオウィディウスの『恋愛術』では、女性と関係をもつ手段として手紙があるが、手紙で贈り物をする素振りは見せてもいっさい贈り物をしないことは至難の業だと教えている。
 困難などに直面したときにここが踏ん張りどころだと激励するとき、あるいは物事を進捗させるための原理は単純明快だがその実践となるととてつもない困難があるときなどに、この句は使われる。

シビッラとともに冥界に下るアエネーアース(ブリューゲル・子 1630年代 メトロポリタン美術館 蔵)

▶比較◀

行きは良い良い、帰りは恐い

(子どもの遊び歌「通りゃんせ」)

■解説■
 なぜ往路はよくて、復路は恐いのかについて諸説あるが、通常は、ある場所に向かって進む道のりでは、なにごともなく進んで行けるが、その場所から帰る道のりでは、なにか恐ろしいことが起きそうなので、そこに行くのに二の足を踏むという意味で使われる。