◆時をつかめ◆ 時期を見極めて実行する
Sera parsimonia in fundo est.
セーラ・パルシモーニア・イン・フンドー・エスト
底をついてからでは節約も遅すぎる。
(セネカ『道徳書簡』第1書簡5節)
■解説■
セネカは、ネロが皇帝の座について最初の5年、政治の中枢にあってその手腕を発揮したが、その後には自発的な隠棲をした。この哲人は公務や政治的駆け引きに時間を取られてきたことを悔やんだようで、時間を大切にすることを熱烈に勧めている。ではいつから時間を大切にしたらよいのか。半ば自戒をこめて、残りの人生はわずかで、生きられる時間が「底をつく」寸前であるなら、それは「遅すぎる」ことになる。遅きに失しては、それこそ取り戻せない時間の量が膨大で、時間「節約」の努力は虚しいものとなる。
この言葉の背後に息づいているのは、資産の使い方。資産が「底をつく」寸前で一気に「節約」を開始しても、それは「遅すぎる」ということ。
▶比較◀
火事あとの釘拾い。
(諺)
■解説■
浪費癖のある人が、いざ金に困るようになったとき、節約を開始しようとしても、焼け石に水で虚しい。日頃から計画的に節約し、無駄遣いを控えることが大切であることを教えている。時間も同じであることはいうまでもない。