◆戦争◆ かきたてられる戦争愛

Accendamque animos insani Martis amore.

アッケンダムクエ・アニモース・インサーニー・マルティス・アモーレ

そして狂乱するマルス神を愛するように、人々の心に火をつけてやろう。

(ウェルギリウス『アエネーイス』7550行)

■解説■
  異国トローイアからイタリアに到着したアエネーアースは、イタリアの王国ラティウムと同盟関係に入る。アエネーアースが定住することに怒った女神ユノーは、復讐の女神アレクトーに、当地で戦争を起こすべく手を打つように命じる。アレクトーは、戦闘へと駆り立てる狂乱を、アエネーアースの宿敵となるトゥルヌスの胸に打ち込む。またラティウム人とトローイア人が戦うきっかけづくりにも成功する。こうした一連の実践を女神はユノー女神に報告するが、その際に提案として、イタリアの数々の王国を戦乱に巻き込ませてはどうかというが、そのときの言葉。なおマルス神は戦争の神。

復讐の女神は三姉妹で、アレクトーはその一柱 (前340年頃, カールスルーエ・バーデン州博物館)

▶比較◀

吾人は世界の同志と共に声を合はして戦争の非義を叫び、万国軍備の廃滅を(とな)ふるものなり。

木下尚江「戦争人種」『毎日新聞』5月11日[1903])

■解説■
 日露戦争の勃発にあたって、非戦運動推進の言論人であった木下は、武力行使はそもそも義に反し、国を疲弊させ、兵士を死に追いやり、経済にも打撃をあたえることを説いた。しかし()(すけ)[ロシア人に対する蔑称]倒せの国民の戦争愛の熱狂は大きく、非戦の声は消されていった。