◆死◆ 霊魂は不滅
Omnia mutantur, nihil interit.
オムニア・ムータントゥル・ニヒル・インテルイット
万物は変化するが、何も滅びない。
(オウィディウス『変身物語』15巻165行)
■解説■
詩人オウィディウスは『変身物語』において、ピタゴラス自身が自説を教団の同志に開陳する場面を設定し、引用文の言葉をこの哲学者に言わせている。そこでは、人間の肉体は火葬・土葬によって滅ぶことがあっても、霊魂はそのまま生き残り、別な人間、別な動物へと乗り移っていくと教えている。霊肉二元論で、霊が転生する考え方(Metempsychosis)で、ソクラテス以前の宗教であるオルフェウス教団やディオニソス信仰にもみられるギリシアの考え方である。引用文は、「何も滅びない」とあるが、霊魂はまったく滅びないということ。

▶比較◀
倩女離魂
(『無門関』35則[1229年])
■解説■
倩は父親の意向で、許嫁との結婚を拒まれる。許嫁の男性は失意のうちに故郷をさろうとするが、逃げてきた倩を見つけて、駆け落ちする。2人の間には子供もできるが、5年後に2人は親に許しを請うべく倩の実家に戻る。しかし実家には、病に臥せっている倩がいた。この2人の倩は実家の門のところで出会い、一つに合体する。この不思議な出来事を引き合いに出して、僧が老師に「倩女離魂、那箇か是れ真底」(倩女の肉体から魂が抜け去りました。どちらが本物の倩ですか)と問う。なお、この倩の逸話そのものは、清の怪奇短編小説集『聊斎志異』(全12巻・490余篇)のなかの「聶小倩」として掲載されている。
