◆人生◆ 生きているだけで儲けもの
Quid sit futurum cras, fuge quaerere, et/Quem fors dierum cumque dabit, lucro/Adpone.
(詩)クイード・シート・フュトゥールーム・クラース・フゲ・クアエーレレット/クェーム・フォールス・ディエールーム・クームケ・ダビート・ルクロー/アードポ-ネ
(散文)クイド・シト・フュトゥールム・クラース・フゲ・クアエーレ・エト/クェム・フォルス・ディエールム・クムケ・ダビト・ルクロー/アドポ-ネ
明日がどうなるかと問うのはやめて、運命が授けてくれる一日一日を、儲けとして記帳しなさい。
(ホラーティウス『歌章』1巻9歌13-15行)
■解説■
山には雪が積もり、河は凍結し、真冬。だからこそ、むしろ屋内で炉に火をくべて「月並みな酒」を飲み、何もかも忘れてほんのりくつろぐことにしよう。明日がどうなるかなどという心配はやめて、死なないで生活していられる一日一日をむしろ儲けものとみなすプラス思考でいよう。ここのミソは、明日はどうなるかわからないから酒池肉林の道に入ろうと勧めるのではなく、わからないからこそ「月並みな酒」に象徴される適度な快適さを、ありがたく受けとめて、適切に楽しもうという態度。

ローマの床暖房. はがれた床下に温水路があらわになっている(スペイン・パレンシア地方 邸宅跡)
▶比較◀
今日は今日、明日は明日の風が吹く
■解説■
不運なことが起こったときには、それが明日にはまったく異なった事態に変わるかもしれないことを期待して、成り行きにまかせて飄々として生きる生き方をあらわす。
