◆過失◆偶然がもたらした罪
Quod enim scelus error habebat?
クオド・エニム・スケルス・エッロル・ハベーバト
というのも、偶然の過ちがあったからとて何の罪があったであろう。
(オウィディウス『変身物語』3巻142行)
■解説■
王家の血筋をひく若者アクタエオンは、狩りで疲れた体を休めようと森の中に入っていった。そころがそこはたまたま狩りの女神ディアナが沐浴をする泉がある場所であった。さらに偶然が重なり、アクタエオンが森に入ったとき、この処女神は侍女たちの助けられ裸になって沐浴し始めたところであった。その場面にこの若者は遭遇し、女神の裸体を見てしまう。それに即座に気づいた女神は、見られたことの怒りで、この男を雄鹿の姿に変えてしまう。
アクタエオンが裸姿を見てしまったことは瀆神の罪であるが、彼は覗き見をしようと企んでのことではなく、たまたまそういう場面に遭遇するという偶然の過ちがあったにすぎない。

▶比較◀
悪の来たるや己れ則ち之を取る。
(『春秋左伝』(宣公13年[前586年])
■解説■
偶然の誤りから罪を犯してしまうことも、自分の行いが招いた結果である。偶然を責めるのではなく、自分自身の普段の考え方や振る舞いについて反省するように促している。
