Ever: 「かつて」か?

 時間は直線で流れ、その直線には開始点と終点とがあるはずだと、英米人は意識しています(時間意識の二元対立)。
 これに関連して、everは、直線に流れる時間にあって、ある開始点からある終点までも「いついかなる時点でも」という意味です。

everの説明として、次のような例文がよく使われます。

Have you ever been to the Philippines? 
今までにフィリピンに行ったことがありますか。

そこでは、everは「今までに」という意味で説明されています。
そしてその後に、疑問文・条件文では「いつか」、否定文では「どんなときでも」などといった文の種別による訳語が並び、副詞・形容詞を修飾して「今までよりも」という意味に変わり、何を修飾するのかの区別によっても異なった訳語になります。

 しかしこうした細かいことを覚えるよりも、everの本来の意味が、「いついかなる時点でも」であり、時間の開始点と終点をどこに取るかによって、この「いついかなる時点でも」の訳語が変わってくると考えるほうがはるかにすっきりします。

時間意識の二元対立でも述べたように、時間については英米人は開始点と終点を思い浮かべる癖があります。ですからeverを図示すると

上の例文の場合、あなたが映画を見るようになった時を開始点として、いまここでたずねている時点を終点として、その開始点から終点の間のいついかなる時でもよいから、フィリピンに行ったことがあるかどうかを話し手は知りたいのです。

everは図示にもあるように、比較的長い期間の「いついかなる時点でも」という意味ですから、

*Have you ever seen the latest Saturday Night Live?
直近のサタデーナイト・ライブ(アメリカの生放送人気番組)を見ましたか。

という文では、わずかに一週間も満たない期間ですからeverを使うのは奇妙に響きます。