市川 伸一 (2001). 学ぶ意欲の心理学 PHP新書

知識なくして思考なし

¶認知心理学では、人間は受身的に情報を蓄積するのではなく、すでにもっている知識を使いながら情報を取り込んで、知識体系を絶えず作り直していく能動的な存在であるとみなします。……学習者が知識を主体的に構成していくことこそが学習のおもしろさ、楽しさなのだということになります。

¶「これからは、知識はコンピュータの中に入っているんだからいいではないか。人間は考えることがむしろ主要な役割になってくる」。 認知心理学から見たら、そんな変な話はないわけですよ。……単元の最初から、ほとんど予備知識もないまま、「さあ、皆さん、考えましょう」と。

■著作一行紹介■ 著者が提唱した「学習動機2要因モデル」について詳しくわかりやすい解説があり、それに続いて後半は、学習動機の理念型をめぐり和田秀樹と苅谷剛彦との対談から、内発・外発的動機づけという二分法を、動機は連続した「程度問題」として落とし込んでいる。。

▶要言一行紹介◀ 学校で習得する知識は思考するために必要な道具であって、知識蓄積の量を減らして、ともかく学習者自身でよく考えてみようという教育方法は、認知心理学の見地からすると異様である。

◆一口コメント◆ 「学習動機2要因モデル」は6動機を提唱し、日本人学習者の動機を表面的に分析するには便利な尺度だが、一人の学習者の中でもこれら6動機のうち相対立する動機が同時に混在しており、深層の分析には質的分析が不可欠。