◆人生◆ 占いに頼らない賢明

Prudens futuri temporis exitum/Caliginosa nocte premit deus,/Ridetque, si mortalis ultra/Fas trepidat.

プルーデーンス・フトゥーリー・テンポリス・エクシィトゥム/カーリーギノーサー・ノクテ・プレミト・デウス/リーデトケ・シー・モルターリス・ウルトラー/ファース・トレピダト

賢明な神は、未来の時の成り行きを/霧の夜に押し包み、/皆死ぬ運命にある人間が、分を越えて不安におののくとき、あざけり笑う。

(ホラーティウス『歌章』3巻29歌29-32行)

【解説】

 未来のことを確実に知っている神は、未来に何が起こるのかを人間の目から隠している。隠し方は、霧と夜という二重の封印によっている。人間には自分がやがて死ぬということ以外に未来に何が起こるのかを知ることはできないが、それでも自分は、家族は、国はどうなるのかといったように、未来の予言に耳を傾けたくなる。しかしそれは人間としての分限を越えた愚かなことなのだ。ましてやその予言が厳しい内容を告げたときには、人間は不安にかられてしまうが、神からみれば、そうした薄弱な根拠にもとづいた不安は嘲笑の対象である。

 ギリシアではデルポイの神託、ローマでは鳥占いが有名であるが、神話でも預言の成就というパタンがしばしば登場する。オイディプース王には「父を殺し母と寝る」、ダナエーには「娘の子が父を殺す」という神託があり、それぞれ予言は実現した。

【比較】

八卦(はっけ)八段、嘘八百

(増山守正『旧習一新・上』1876年)という諺があるのように、占いには嘘が多いというが、それでも人生で重大な選択が必要になるときには、四柱推命や高島易断などに頼りたくなる習性からはなかなか脱せない。

レスリングの勝敗を占う鳥たち (年代未詳)