稲垣忠彦 (1984). 戦後教育を考える

正答主義と自律的学習

[日本での学習]知識の学習において、競争に動機づけられた意欲は促進され、一部の「勝利者」によろこびをもたらすが、そのよろこびが、学問・文化、人間理解に関する内発的な関心、知的な追求のよろこびと結びつくことは少ない。

[イギリスでの学習]資料を調べ、自分の理解と想像力をとおして問題を組みたて、表現し、教師のなぜかと問う援助によって課題を発展させ、多様な見解を理解しあう学習。

戦後教育を考える (岩波新書 黄版 273)

■著作一行紹介■ 20世紀戦後の日本の教育のあり方を、正答主義と位置づけ、同時代のイギリスの教育が個人の能力に見合った(今で言う)調べ学習であることと対比して、暗記型知識蓄積から自律的な知識利用の学習活動を勧める。

▶要言一行紹介◀ 知識蓄積学習がもたらす弊害は、(今で言う)生きる力を育てる学習がもつ魅力と比べると、あまりにも大きい。