◆死◆ 人も事物も滅びる
Debemur morti nos nostraque.
デーベームル・モルティー・ノス・ノストラケ
私たちも、私たちの持ち物も、死へと定められています。
(ホラーティウス『詩論』63行)
■解説■
『詩論』は詩人ホラーティウスの代表作というべきものだが、アリストテレスの『詩論』のような論文ではなく、ホラーティウスが執筆した数多くの書簡詩のうちのひとつが、このように古来から呼び習わされている。全体はおおまかに詩(抒情詩・叙事詩・演劇)に共通する原則、演劇執筆に関し注意すべきこと、詩人の性格や心の持ち方の三つからなっている。
引用は、詩の原則に関わる箇所からで、言葉は生まれては短命のうちに死んでいくということに注意を促しつつ、新しい言葉を作ることは許されるのであって、造語を恐れてはならないことを教える。言葉の短命さに言及しながら、引用句にあるように、人間も人間が作るものも何もかもいつかは死を迎え滅びる運命にあるという。

▶比較◀
二鼠 藤を噛む
(梵漢辞典『翻訳名義集』[1143年])
■解説■
白と黒のネズミをあらわす二鼠は、仏教語で昼夜をあらしている。また藤はいのちの喩えで、藤の代わりに「根」といわれることもある。全体としては、人間は時々刻々と死に向かっていることをさしている。
