◆愛◆ 恋をすると兵士になる
Militat omnis amans et habet sua castra Cupido.
ミリタト・オムニス・アマーンス・エト・ハベット・スア・カストラ・クピードー
愛すれば誰もが兵士になり、その陣営を構えるのはアモルだ。
(オウィディウス『恋の歌』第1巻9歌1行)
■解説■
ローマ文学では、恋人が兵士と比較されると、両者は対極に立つものとして捉えられることが多い。恋に落ちた若者は腑抜けで、恋人のことばかりをあれこれと想い続ける怠け者である。それに対して、兵士の方は功成り名を遂げる意欲はあるが、実力がついていかず、自分の活動を誇大宣伝するホラ吹きである。詩人オウィディウスはここで、そうした対比を覆して、熱烈に恋する男性と真面目な兵士とは類似していると述べている。たとえば兵士は斥候として敵の偵察に行くが、恋する男はライバルに目を光らせるし、また兵士は敵の寝込みを襲うが、恋する男は旦那が寝ている隙に女性をモノにするといった例を次々と並べ立てている。

▶比較◀
嗚呼かく弱き人ごころ、嗚呼かく強き恋の情。
(北村透谷『北村透谷詩集』「夢中の夢」1990年頃)
■解説■
北村透谷は、恋愛は人生の意味を知るための秘密の鍵だと宣言した。そして許嫁のいた、政治家の娘と恋愛関係になり、20歳で結婚している。しかしその5年後に自殺する。
