◆絶望◆ 家の滅亡
Occidit, occidit/ Spes omnis et fortuna nostri/ nominis.
オッキィディット・オッキィディット/スペース・オームニス・エト・フォルトゥーナ・ノストリー/ノーミニス
あらゆる希望が、家名の運が、滅んだ、滅んでしまった。
(ホラーティウス『歌章』4巻4歌70-71行)
■解説■
ホラーティウスは、ローマの将軍ドゥルスースがゲルマニアの部族との戦い(前15年)で勝利をおさめたことを讃える。そしてその強さを、第二次ポエニ戦争においてローマに侵攻した宿敵カルタゴの将軍ハンニバルに語らせる。ハンニバルはザマの戦い(前202年)で最終的にはローマに敗れるが、彼の父ハミカル・バルカも第一次ポエニ戦争で敗れている。引用文は、こうしてカルタゴのバルカ家の運命もつき、ローマに勝利するという希望も消えてしまったということ。

▶比較◀
炎炎たる者は滅び、隆隆たる者は絶ゆ。
(『漢書』揚雄伝 後漢)
■解説■
炎が燃え上がるように血気盛んな者も、いつかは滅亡することになり、勢いに乗っている者も、やがては消滅する運命からは免れないという意味。揚雄はこの言葉を自分に言い聞かせて、賢者であるにもかかわらず不遇な待遇を受けている現実のもとで、「為すべきことを為すべきときに為す」という高い精神的価値を保ち続けようとした。ハミカル、ハンニバルの親子は「炎炎」「隆隆」たるタイプの将軍であったが、ローマ侵略で力を使い果たし、揚雄が指摘するように、滅んでしまった。しかしこれはローマについてもいえることで、476年に異民族の侵入を受け、西ローマ帝国は滅んでしまった。
