◆恋・愛◆ 力

Omnia vincit amor.

オムニア・ウィンキット・アモール

愛は万物に勝つ。

(ウェルギリウス『牧歌』第10歌69行)

■解説■
 これは、恋人が別な男性に乗り換えたために失恋の憂き目を見た詩人が、アルケーディアという田園で、神々から失恋を慰められるが、愛の力がどれほど大きいかを主張したときの決め台詞。なお牧歌(pastoral)とは、政治と商業の渦巻く都市から隔絶した田園を舞台として、都会に嫌気のさした文人や田園の住人である牧人たちが、お互いどうし、あるいは神々と自分の主張をぶつけ合って歌合戦をする文学形式。しばしば政治、文明批判を伴う。

ダニエル・ヘインシウス『愛とは何かと君は問う』(1601年)

▶比較◀

忠は危うきを避けず、愛は悪言(あくげん)無し (忠不避危、愛無悪言)

(『晏子春秋』(あんししゅんじゅう)外篇重而異者)

■解説■

 臣下が王に対して忠誠心を抱いているなら、臣下は身の危険をかえりみずに忠言する。また愛する心があるなら、悪口はいわない。中国ではこのように愛とは王臣の間、親子の間に通い合うもの。「日中両国の古典文学における詩歌のテーマは、中国では友情、日本では恋愛が、それぞれの主流であったという違いが指摘されている」(陳舜臣『中国詩人伝』)。「恋ひ恋ひて逢へる時だに愛(うるは)しき言尽(ことつく)してよ長くと思はば」(『万葉集』巻4(661))。


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