◆死◆ 若死
Quem di diligunt/adulescens moritur.
クエム・ディー・ディーリグント/アドゥレースケンス・モリトゥル
神に愛された者は若死にする。
(プラウトゥス『バッキス姉妹』4幕7場18-9行[816-7行])
■解説■
機転が利く、若者に仕える若い奴隷がいた。しかしその要領のよさが仇となって若者の父から懲らしめられそうになる。そのとき、奴隷がその老父に向かって、神に愛された者は若死にするが、長生きしているのはこの世の憎まれ者だからだと啖呵をきる。なお、この名句は、『バッキス姉妹』の種本であったメナンドロス『二度のだまし』(断片125 ギリシア語)からの文字通りの翻訳である。英語でも、この句はイギリスの詩人バイロンの翻案で有名。“Heaven gives its favorites─early death”「天はその好む者に、夭折を授ける」(『ハロルド公子の巡歴』第4歌102節)。

▶比較◀
佳人薄命。
(蘇軾「薄命佳人詩」1073年)
■解説■
原文は、「自古佳人多命薄、閉門春尽楊花落」(古より佳人は多く薄命なり。門が閉じ、春が尽き、楊花は落つ)。ここでいう「佳人」は歌妓で、今どんなに美しくとも、やがて容姿は衰えてしまい、そのときには仏門に入り、白い綿毛のついた柳の種子のように人知れず亡くなっていくということ。