◆死◆いつ訪れるかわからない

Improvisa leti/Vis rapuit rapietque gentis.

インプローウィ-サ・レーティー/ウィース・ラプイト・ラピエトケ・ゲーンティス

予測できない死は、その力によって人間という種族をこれまで奪ってきたし、これからも奪い去るだろう。

(ホラーティウス『歌章』2巻13歌19-20行)

■解説■
 ホラーティウスは、自分の荘園で散歩していたとき、樹が突然倒れてきて、その下敷きになりあやうく死ぬところであった。詩人はこの樹とこれを植えた人物とを呪ったあとで、人間は四六時中、気を張りつめてはいられないと教える。たんなる怪我ではなく、誰にとっても恐ろしい死は、いつ自分の身に降りかかるのかは予測不可能で、しかも人間誰にでも100%確実にやってくる。だがそんな死にたいしてすらも、人はやはりいつも恐れ、用心してはいられないと述べる。

ワインを運ぶ、骸骨姿の召使(床のモザイク. ポンペイ, 1世紀前半)

▶比較◀

(あした)紅顔(こうがん)ありて、(ゆう)べに白骨となる

(藤原義孝『和漢朗詠集』794, 1013年)

■解説■
 朝、頬に血が通い健康な顔をしていた若者が、夕方には死んでしまい、白骨となる。死は老若男女を選ばず、いつ訪れるかわからないということ。漢詩の原文は、「朝有紅顔誇世路、暮為白骨朽郊原」(朝に紅顔ありて、世路(せいろ)に誇れども、暮に白骨となりて、郊原(かうはら)に朽ちぬ)となっている。浄土真宗中興の祖である蓮如上人がその『御文(おふみ)』(『御文章(ごぶんしょう)』)の中でこの原文をここでの引用文のように改めた。この改作は葬儀などで読まれるため、原文がこの形で一般に広まっている。


❖言葉❖ 文体は生き方の反映
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❖豊かさ❖ 満足する技法
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❖豊かさ❖ 向き合い方が肝心
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❖豊かさ❖ 執着からの自由
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❖豊かさ❖ 豊かさの極地
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❖豊かさ❖ 満ち足りた心が必要
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