◆忍耐◆再生する不屈の力
Merses profundo, pulchrior euenit.
メルセース・プロフンドー・プルクリオル・エーウェニト
深く沈めると、今までよりも瑞々しくなってあらわれる。
(ホラーティウス『歌章』4巻4歌65行)
■解説■
ホラーティウスは、ローマの将軍ドゥルスースがゲルマニアの部族との戦い(前15年)で勝利をおさめたことを讃える。そしてその強さを、第二次ポエニ戦争においてローマに侵攻した宿敵カルタゴの将軍ハンニバルに語らせる。敵を殺すため、敵を水の中に沈め、溺死させるやり方がある。溺死体は水ぶくれの目も当てられない風船状態に変貌する。しかしローマの場合には、溺れさせられても、かえって力を得て今まで以上に美しい姿であらわれると、ハンニバルにいわせている。「打たれ強い」ということを通り越して、より立派になる姿や態度をいいあらわしている。
▶比較◀
志士は苦心多し。
(『易経』繋辞下伝】先秦)
■解説■
正しいことを行い、不忠や悪には決して手を染めない士官(志士)は、自らの志を変えないため、信じがたいほどの様々な苦しい思いをする。しかしそれでも不屈の意気でことに対処していく。