▶英訳を考える◀【状況:芸術作品の影響】 自分の気持ちが発出
私の作品をじっと見ると、見ている人はそこで自分がさらけ出されてしまうし、自分だけが知っている気持ちや感じを味わえる。
◇英訳◇
My art is a place where people can expose themselves by looking at it, and they can feel their own feelings and their own emotions. (BBC)
■ここに注目■
【1】《語法:動詞》 じっと見るは、look at. 漠然と環境の勢いで見えてくるなら see だが、自分の意志を使って見るなら look at. 意志を使う含意があるので「じっと」ということになる。
【2】《二元対立:自⇔他》《語法:名詞》 見ている人は英語ではまず人 people に焦点をあて、その人が何をするのか(looking at her art works)というように分解して叙述される(英語の認知パタン)。日本語に引きずられて、ここをいきなり、lookers-on や looking people とすると、前者は傍観者だし、後者はただ見ているだけでとくに何も感じない人になってしまう。
【3】《語法:動詞》 出されてしまうのように、自然と~となってしまうというのは中動態で、英語では例文のように再帰表現になる。
【4】《語法:形容詞》 自分だけが知っているはown で処理できる。この単語は、自分に特有で自分が所有しているという、日本語には言葉として上がってこない強い所有意識がある。「いま、自分の気持ちがなんだかわからない。」→I’m having a hard time understanding my own emotions right now.
【5】《語法:動詞》 味わえるも、自分の意志でということではなく、自然と~となってしまうということで、feel themselves (with) としたくなるが、feelという動詞にはすでに再帰性が含意されているために、feel一語で十分。