▶英訳を考える◀【状況:COP】 気候変動対策は幻想保持
COP23の取り引きの要にあるのは、気候変動対策を打ち出すことで、大したことをやっているという西洋の幻想を維持することである。
◇英訳◇
The point of the deal in COP 23 is to preserve the West’s illusion that its climate policies are accomplishing something. (WSJ)
■ここに注目■
【1】《語法:名詞》 要は意訳して aim とすると、取り引きがなされるのはある一定の目標を達成するためということになってしまう。例文では地球温暖化を阻止し人類が生存できる環境を保持するという目標のために取り引きがなされていると世間では思われているが、実はそうではないと述べられている。そのために aim は使えない。取り引きが実はどういう性質のものであるか、その肝心な点を示すには、 point.
【2】《日英語の認知相違:動詞中心⇔名詞中心》 を打ち出すことは、直訳すると “the proposal of its climate policies”となるが、例文のようにthe proposal ofは不要。を打ち出すことは日本語では動詞(用言)によって状況を細分化して表現するために、このような動詞が入り込んでしまう。コトやモノをあらわす名詞が主語になって他に作用を及ぼす発想をする英語ではこうした動詞は不要。
【3】《語法:名詞》 大したことは、something serious のほうが訳文としては適切なように思われるかもしれないが、こうしてしまうと言外に、対策は打たないと大変なことになるのに実際にはやっていないというニュアンスになってしまう。筆者は、気候変動はそもそも大したものではないと考えているので、something とだけして、何をやっても大差はないという意味合いを出している。