▶英訳を考える◀【状況】核融合と原発の核分裂


核融合の原理は、原子核同士を強制的に結びつけることでエネルギーを放出させるというもので、これは現行の原発を動かす原理である原子核の分裂に代わるものである。

◇英訳◇
Fusion works on the principle that energy can be released by forcing together atomic nuclei rather than by splitting them, as in the case of the fission reactions that drive existing nuclear power stations.

■ここに注目■ 【1】 「核融合の原理」のように、日本語では「XのY」という形が多用される。そのために英訳の際には、「XのY」を主語として、be動詞で残りの部分を結びつける誘惑にかられてしまう。この場合であれば、「核融合の原理」を主語にして、be + that節という形である。”The principle of fusion is that ….” だから日本人が書く英語には be動詞が頻発する。しかし例文のように、「核融合は~という原理で作用する」というようにworkなどのbe動詞以外を使うほうが、はるかに知的な英語になる。
【2】 “X rather than Y” は 「YというよりはX」と英和辞典に記載されている。もしそうなら、例文は核融合は「原子核を分裂させる」(Y)というよりは「原子核を結びつける」(X)となってしまい、核融合にも核分裂の過程が含まれることになる。本当にそうなのだろうか。 簡単な例文で考えてみよう。(1) “I would rather staying home rather than going to the concert.” の場合、家にいることと、コンサートに行くことは同時に両立せず、どちらか一方しか成り立たない。このように rather than のXとY は、同時に成立しないことが比較対照される。 (2)次に、Y にあたるものは、概して、相手はY だと思うかもしれないが、実はXなのですという意味合いが含まれている。直前の例文でいえば、相手がコンサートに行こうと勧め、私も行きたいだろうと思っているかもしれないが、実は私は家にいたいということ。また核融合の例文では、核融合発電と聞くと、核分裂による原発の発電と思うかもしれないが、実はその逆で、原子核同士を融合させることだといっている。だからここでは訳として、「というよりは」ではなく「代わるもの」が適切。


▶英訳を考える◀【状況:新冷戦】宗教界からの戦争反対声明
Read more
▶英訳を考える◀【状況:新冷戦】 大統領の人柄
Read more
▶英訳を考える◀【状況:芸術作品の影響】 自分の気持ちが発出
Read more
▶英訳を考える◀【状況:旅行手段】 虐げられる都市間バスはそれでも重要
Read more
▶英訳を考える◀【状況:グローバル化】 抜けてからまた戻るのは難しい
Read more
▶英訳を考える◀【状況:支援運動】批判者の暴露といういやがらせ
Read more