◆二元対立の英語感覚◆《同時⇔異時》 直線上の開始点と終点 (2)
直線に流れる時間上を過去・現在・未来と分け、さらに開始点・終点をどこにとるかを考えると、そのパタンはわずか7通りしかありません。
にもかかわらず、ネイティブスピーカーが日本人が話したり書いたりする英語の時制の使い方に違和感を覚えるのは、私たち日本人には、時間差か同期かという、直線的に流れる時間軸上の二元対立があまり意識されないからです。
時間差は、直接的に流れる時間の軸においてある程度の幅があると意識された場合です。たとえば、「今、食べ終わった。」は開始点が過去、終点が現在ということで時間の流れの幅、時間差が感じられます。これに対して、同期というのは、開始点が過去なら終点も過去、開始点が現在なら、終点も現在、また開始点が未来なら終点も未来という捉え方です。下の表の白字部分が時間差、赤字部分が同期になります。
「先月、君は二回欠席している。」は一回目に休んだ開始点も過去、二回目に休んだ終点も過去ですから、開始点と終点との間に時間軸の幅が感じられない「同期」(赤字箇所)となります。前回の項目でやったように、
You missed my class twice last month
これにたいして、「今、食べ終わった。」は、現在を終点とすると、開始点までは幅があると話し手は感じていることが「今」という言葉から伝わってきますから、
I have just finished it now.
階始点と終点とを同期とするのか時間差があるとするのかによって、動詞の形が変わってくることがわかると、次の( )に入る動詞の形もすんなりとわかります。
I ( ) in China for three years when I was a child, but I can’t speak Chinese at all.
① have been ② have once stayed ③ lived ④ went
過去と過去ですから同期となり、( )には過去形 livedが入ります。
こうした時間の感覚ができてくると、次のように現在完了形で問われても、答えるときには過去形でよいことがわかります。
Have you ever seen that movie?”
“Yes, when I stayed in Beijin, I saw it twice.
また、過去の二つの出来事が同期としてではなく、時間差があると意識された場合には、
でしたから、
•Greg wasn’t interested in what was on display here, but what the museum might have tucked away in the maze of corridors behind the scenes.
グレッグが興味を持ったのは、博物館に展示されているものではなく、博物館の迷路のような廊下の目には触れないところに博物館がすでにしまい込んでいたかもしれないものであった。
展示していたものと、展示する以前に展示物としてではなく保管物としていたものとの間の、そのふるまいに時間差を、この文の語り手は感じていたから、過去からさらに時間を一つ戻してmight have tucked と完了形を使っています。