中動態的学習者の特徴:能動態的学習者との対比

特徴

  1. 学習者は学習過程の中心の座を占めている。
    例「やらなあかんな」
  2. 学習者は 自然に 学習過程の中に入って行ってしまう。
    例「なんとなくやってしまうんです」
  3. 学習者は、個人的利害に関係するから[という口実を設けて]自発的に学習する。
    例「この課題は英語力維持に役立つ 」
  4.  学習者は、直近の目標を越えるような大きな目標を設定しないし、通常の学習範疇を越えるような大きな努力を払おうともしない。
    例 聞き手:ほかに,例えば英単語を覚えるアプリとかは,今,たくさん出ているじゃないですか。そういうものも使われていなくて?「そうですね。全然やっていない。」
  5. 学習者は、課題を自分の能力に対する挑戦や是が非でも習熟すべき内容だとはとらえず、また逆に避けて通ることのできる宿題とも考えない。課題は状況から達成するようにたまたまふってきたものとみなす。
    例「受けてからそれに応えるという形のタイプですね。」
  6. 学習者には生き生きした内在的動機があるわけでないし、課題遂行において深みのある熱中があるわけではない。
    例「多分やってあげるかという感じではないかなと思います。」

7. <能動-受動>の枠組みからすると 中動的学習者は、能動・受動的学習者のどちらの特徴も部分的に可能兼ね備えている。しかしそのどちらにも組みしていないヌエ的存在として位置づけられる。この位置づけは、教員自身だけではなく学習者本人も、そのような中間的存在として感じてしまう。
例「自分がわからなくて単純に気になるから,わからないままで終わらせるのがもやもやするから見直すという。」
 「今ので,現状,何とかつないでいるというか,英語力をとりあえず維持できればという感じですね。」


8. <能動-受動>の枠組みに立脚した目標理論からすると 中動的学習者は マスタリー回避目標を目指している学習者のように映ってしまう。
例「そこまで行動力がないんですかね。ないんですね。」


9. 中動的学習者は、<能動-受動>の枠組みのみが学習への取り組みを判断するための基準であると考えてしまうので、学習者自身自らを異端であるかのようにとらえ、精神的な不都合さを感じてしまう。
例 「自分みたいな性格のタイプの人ももともと珍しいと思うので,言われたものを淡々とこなすタイプの人なので」