▶英訳を考える◀【状況:ネット詐欺】 有名な女性になりすました恋愛ネット詐欺
被害者は、ネット上にあった、ヴァネッサの名前やそれに似た名を使った偽の人物紹介を見て、金を要求された。これは「ナマズ釣り」といわれる、恋愛詐欺の一種だ。
◇英訳◇
Victims had money extorted through fake online profiles using Vanessa’s name or likeness, in a type of romance scam called catfishing. (BBC)
■ここに注目■
【1】《二項対立:状況⇔所有》 ネット上にあったは、online. 日本語ではまず全体の状況を述べて、その状況のなかで何が起こり、どんな物があるかを視点を移動させながら述べていく。そのために全体の状況にかかわる単語は、①文の冒頭か、②状況下にある出来事・物を説明する節・句内の冒頭にくる。ところが英語では、出来事・物に焦点をおき、その出来事がどんな動作をし、物がどういう状態なのかを修飾語を加えることで説明していく。出来事・物が、どんな動作・状態を所有しているかを明示するといってもよい。日本語の全体状況、英語の所有関係という視点の違いから、ネット上という言葉は、和文では文・節・句の頭に置かれるし、英文では焦点化された言葉 (ここでは profiles) が所有する性格になる。
【2】《語法:前置詞・動詞》 ~を見ては、ネット上のことだから through reading だが、英語では reading が省略可。というよりも、英語の前置詞を訳すときには日本語では動詞を補う必要があるが、英語では基本的に動詞が不要。たとえば、「スーパーに行って、ジャガイモと人参を買った」は、
△ I went to a supermarket to buy potatoes and carrots.
○ I bought potatoes and carrots at a supermarket.
【3】《語法:名詞》 金を要求されたの要求は、requestを使うと、正当な相手から丁寧に礼儀正しく頼まれたことになってしまう。ここではこちらが金を出したくないのに、相手がこちらから金をせびり取るということなので extort.
【4】《二項対立:個⇔全体集合》 これは~の一種だは、日本語では前文から切り離して別文になっているが、これは前文の文脈をいったん中断して、別文で要約説明をするための日本語的な言い方。直訳すると This is a type of となる。しかし英語ではひとつの内容(X)を言い切った後、その内容がどういうこと(Y)の一部であるかという、部分と全体集合との関係で捉え、文脈の流れを継続させ、X , Y という形をとる。だから、in a type of として、中断はせず別文にはしない。
【5】《語法:名詞》 ナマズ釣りは、catfishing. 日本では「ソーシャルなりすまし」ともいわれることが多い。交流オンラインサイトで魅力的な偽自己紹介をして、相手を釣って、金品をだまし取ろうとすること。言葉の由来は、水槽にナマズ catfish を入れておくと他の魚がおびえて、泳ぎ回り、魚の身が締まるという俗説にあやかって、ドキュメンタリー映画 Catfish (2010) でオンライン詐欺者をナマズに、被害者を魚にたとえたことにある。
