◆二元対立の英語感覚◆《切断⇔影響》現在完了とは、現在影響のことだった


現在完了形⇒現在に影響をおよぼす
過去形⇒現在からは切断


かつて次のような文を友人に宛てて書いたところ、お前は自分の子供が死ぬことを望んでいるのかといわれ、仰天しました。

My third son was born with prenatal heart disease four years ago. He has already passed over the other world twice during his operations, but is strong enough to come back to this world.
3番目の息子は先天性心臓病で4年前に生まれました。 すでに手術の最中に二度ほどあの世に行っていますが、 今では元気で、この世に戻ってきています。

この文章は過去形(was) →現在完了形(has passed) →現在形(is) という順で書かれています。過去に子供が生まれ、その子供が手術を受けて、今までに二度も死線を越えたが、現在では元気というだけのことです。しかし子供が死ぬことを望んでいるとは、どこからそんなニュアンスが漂ってくるのでしょうか。いろいろと説明を聞いているうちに、現在完了形をつかっているからだとわかってきました。


 私たちはこの「完了」ということを今の時点から振り返って過去に起こったことで、完了形で述べたことはきっぱり終わってしまったことだと思っています。

 ところが現在完了形はその形を使って述べている今この瞬間に、述べた内容がなんらのかの影響があり、しかもその影響は内容とえてして因果的にそれも順接で結びついています。「二度も死線を越えた」と現在完了形でいった以上は、次にくる言葉は、だから今も苦しみ、まだまだ手術を何度もしなくてはならないとか、今もその影響が残っていて半身不随だとかいったようなものにならなくてはなりません。

そういえば、この子の説明するときに、現在完了形で、He has already gone through four heart operationsというと、ほぼきまってネイティブ・スピーカーからは、まだあと何回やるのかといったような質問を受けました。完了形なのだから手術は完了、もうこれ以上の手術は不要ということにはならないのです。

 ではもうきっぱり手術は終わったというにはどうしたらよいのでしょうか。簡単です。過去形を使えばよいのです。

He went through four difficult operations, but was strong enough to come back to this world. Thanks to the advanced medical technology and the expertise of a group of brilliant doctors, he is quite lively now, and happy to go to daycare center.
彼は4回の難しい手術を受けましたが、今ではこの世の中に戻ってくるほど充分に強くなりました。 医療がとても進んだのと、素晴らしいお医者さんに恵まれた結果、今とっても元気です。そして楽しそうに保育園に通っています。

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