▶英訳を考える◀【状況:政治家の気質】 老練な勝負師


彼はけっして判断を誤らないわけではないが、リスクを計算に入れ、弱い勝ち目には反旗を翻し、強い敵には自分の自我をゴリ押してきた長年にわたる経験がある。
◇英訳◇
He is not infallible by any means, but he has years of experience in taking calculated risks, defying the odds, and imposing his will on stronger opponents (WSJ)

■ここに注目■
【1】《語法:副詞, 形容詞》 けっしてわけではない。not…by any means は、通例、「まったく…ない」と全否定。しかし 「判断を誤らない」の全否定は、「判断を誤る」なので、「いつも判断を誤る」ということになってしまいます。ここではもちろんそういう意味ではありません。例文にある infallible のように、形容詞に否定辞がついたものを全否定の副詞で修飾すると、「けっして+否定辞付き形容詞+というわけではない」と部分否定のようになります。ニュアンスとしては、「まあまあ+形容詞」、「そこそこ+形容詞」ということで、「判断を誤るといってもそこそこ」でとなります。例 He is not unhappy by any means. 彼はけっして不幸というわけではない→彼はまあまあ幸せだ。
 なお形容詞に否定辞がついたものといってもすべてがそうではありません。形容詞と否定辞付き形容詞との間に程度の差が考えられるものに限ります。 polite – impolite(礼儀正しい – そこそこ礼儀正しい―無礼), formal – informal(型どおり―まあまあ型どおり―くだけた), legal – illegal(合法―グレーゾーン―違法)などがそれにあたります。逆に程度の差がないものとしては、 available – unavailable(利用できる⇔利用できない)、possible – impossible (可能 ⇔ 不可能)、correct – incorrect (正しい ⇔ 間違っている)、mortal – immortal (死ぬ運命にある ⇔ 不死身の)などがあります。
【2】 《語法:名詞》自我。日本語からすると ego となります。しかし ego は自己中心的で傲慢なプライドがあるという意味合いがあり、ここで ego を使うと、「自分は優れている」と証明したい、「相手を支配したい」という個人的自己満足が原動力になって、自我を押し通すことになってしまいます。例文では、強い目的意識を持っており、戦略や揺るぎない決意によって、困難な状況でも自分の計画や望む結果を実現させる強い意志をもつということなので、 will になります。
【3】 《語法:動名詞》 してきた経験。experience in ~ing で、過去において~してきた経験がある。 experience in ではin が省略され、~ing動名詞)が直接くることがある。注意点は、~ingはすでに行っていることで、現在も~ingができるかどうかは不明。


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