◆二元対立の英語感覚◆《同時⇔異時》 時間の開始点と終点
時間は直線で流れるものと英米では意識されています。直線で流れるのはあたりまえではないかと思うかもしれませんが、私達の直線感覚と決定的に違っているのは、直線で流れる時間には、開始点と終末点が意識されることです。
欧米の科学者が宇宙の始まりとされるビックバンにあれほどこだわり、巨大施設CERNを建設してまでそれを究明しようとする熱意の源には、時間が直線的に流れているなら、その開始点は必ずあるはずだという信仰に似たものを頂いているからです。
この確信の根底には、ユダヤ・キリスト教の時間観があります。宇宙は最初からあったのではなく、神が無から宇宙を創造したと聖書(「創世記」)にはあります。この開始点から宇宙が滅ぶ終わりの時点に向かって時間は進んでいると考えます(聖書「ダニエル書」,「ヨハネ黙示録」)。その終わりの時には救世主(メシア)が到来し、この世の人々に裁きを下します。
開始点と終点のうち、開始点について注意しなくてはならないことは、聖書では神は地球にのみ生物を創造し住まわせたことになっています。だからこそ、火星に水があって生物存在が確認されれば、神は地球以外にも生き物を創造したことになってしまい、神による創造に大きな疑問符が付きます。この疑問符は当然のことながら、終末点にいたるまで宇宙に介在する神の働き(キリスト教用語で「摂理」)も、本当にあるのかどうか怪しくなります。ひいては、聖書は誤っていた、キリスト教の神などは存在しないということになります。