◇愛のエンブレム◇ [裏扉]

思い邪なる者に災いあれ✒
ただひとりに私は仕える
❁図絵❁
が配されている。靴下留めには、HONNI SOIT QVI MAL Y PENSEと、古アングロ・ノルマン語(中世イングランドの支配階級の言語)で記されている。これらの意匠の下にはモットー(UN JE SERVIRAY)が巻紙の形で入っている。盾に描かれた紋章は、前脚を二本とも上げて、口から舌を出し相手を威嚇する屹立したライオン。紋章学でランパント・ライオンといわれ、勇気、力などをあらわす。フェーンがこの本を献呈しているペンブロック家の貴族の紋章には、このタイプのライオンが入っている。また冠はペンブロック家の伯爵冠。そして巻紙に記されたモットーはペンブルック伯爵家のもの。
❁参考図❁


〖注解・比較〗
災いあれ:1348年に設立されたイングランドのガーター騎士団のモットー。この騎士団は、イングランドの守護聖人・聖ジョージに仕えるもので、そのメンバーは王家など由緒ある貴族に限られていた。この騎士団のメンバーのみが、ここに描かれている靴下留めを付けることが許されていた。次ページの二人の貴族は、この靴下留めを付けている。