◇愛のエンブレム◇ 86

OFFICIT OFFICIO.

Aestuo nec flammas potis est restinguere nimbus,

At flammae vires adijcit vnda nouas.

Quae metamorphosis? mihi sunt medicamina virus,

Et mea per densas flamma fauillat aquas.

P. Syr.    Amans, ita vt fax, agitando ardescit magis.

尽くしても無駄になる。

雨雲がごうごうと雨を降らせても炎を消すことはできず、

雨を受けてかえって火炎は新たに力づく。

これは何の異変か。毒は僕の薬であり、

  どっさり水をかぶると起こるのが、僕の炎なのだ。

プーブリウス・シュルス  愛する者は松明(たいまつ)のように、かき立てられるといっそう燃え上がる。

愛の炎は消されることがない

   水をかけても愛の熱は和らぐことはなく、その炎を燃え立たせ、

アモルの心臓を燃やす火は、水を燃やす。

冷たさによって増えいく熱をもとに、また熱くなる。

愛が助けを望んでも、それは愛にはまさしく害となる。


❁図絵❁

アモルが、大風(画面右上の風神)の吹く豪雨のさなかに長い取っ手のついた松明を持っている。雨に濡れても松明の炎は消える気配がない。一方、堅固な石橋は濁流に流され損壊している。

❁参考図❁

ルドルフ・バックハイゼン (Ludolf Bakhuizen)「荒れ狂う嵐の中の船」1690年

海洋国であったオランダの絵画には嵐の場面がしばしば描かれる。これが室内の壁絵として使われると、恋の激しい感情や恋の道がやがて破局を迎えることを象徴することがあった[➽55番]。


〖典拠:銘題・解説詩〗

典拠不記載:

典拠不記載:

プーブリウス・シュルス:『警句集』A 38[➽31番]。

〖注解・比較〗

:「かきくらし ことは降らなむ春雨に 濡衣(ぬれぎぬ)きせて 君をとどめむ」(詠み人知らず『古今和歌集』 402)。今、貴方と一緒におりますが、空に雲が立ちこめて、こんな風に降ってほしい。本当は春雨なのに、大雨だと偽りの名を負わせれば、帰ろうとする貴方を家に留めておける。


◇愛のエンブレム◇ 65
Read more
◇愛のエンブレム◇ 題銘一覧(邦訳版)
Read more
◇愛のエンブレム◇ 題銘一覧(英訳版)
Read more
エンブレム集抄訳
Read more
◇愛のエンブレム◇ 図書検閲済
Read more
◇愛のエンブレム◇ 124
Read more