▶英訳を考える◀【状況:煙霧】 地域が煙霧に包まれる
首都ワシントンは、木曜日に煙霧にすっぽり包まれたが、それはカナダで何百もの森林火災が発生し、もうもうと立ち込めた汚染空気が流されて、広範囲にわたるアメリカ東部を覆い続けているからだ。このために空港のダイヤは乱れ、また環境課は注意を呼びかけている。
◇英訳◇
The U.S. capital was shrouded in a haze of smoke on Thursday, as hundreds of Canadian wildfires continued to push clouds of polluted air across much of the eastern U.S., causing flight disruptions and prompting warnings from health officials. (Reuters)
■ここに注目■
【1】《語法:名詞》 煙霧=a haze of smoke.
【2】《語法:動詞》 すっぽり包まれたを be completely covered with にすると、当然のことながら首都上空のどこにも隙間なく厚く覆ったことになる。しかしここでは、上から布をかけるように、うっすらとすっぽり包んでいるということなので、 be shrouded in. なお shroud は死者の体を包む布(経帷子)のこと。
【3】《語法:前置詞》 発生し・・・流されて・・・覆い続けている は日本語認知パターンが動詞枠であるためにこのような文になっている。これに対して英語では、事柄・人が何かに力を及ぼすのが基本認知パターンであるために、森林火災が空気を押し流し続けるという無生物主語構文になり、そこに前置詞句を付けて覆うを補う。
【4】《語法:前置詞》 覆い続けは across. 前置詞 acrossは横切ってと始点から終点までを通過する単線で考えられるが、このように単線が複数あって、それらの複数の単線をまとめて一つの地域を覆うという統合の意味にもなる。