◆二元対立の英語感覚◆《切断⇔影響》 I was wondering if you would はなぜていねいな表現になるのか
過去形⇒切断から迂回、だから丁寧
過去形は、現在からの切断でした。過去形を使って言及されている内容は、過去形を現に使って話している私からも切断されます。内容と私との間に切断されて、その間には越えがたい距離が横たわっていることがわかると、相手に頼みたいときに過去形を使う理由が見えてきます。
あまり親しくない相手に頼み事があるとき、ストレートにそのお願いをぶつけるは多少失礼かなと心で感じているときに使うのが、
I was wondering if you would mind ~ing
という形です。たとえば教室で一言か二言話したことのあるお目当ての彼女に向かって
I was wondering if you would mind going to the movie with me this weekend?
などといえば、答えがどちらであろうと、相手はそう気を悪くしないはずです。
I was wondering if you would mindというこの表現を最初にみたときには、ひじょうに奇妙だと私は思いました。いま現にお願いしたいことが心のなかにあるのだから、現在形ではないか。その願い事をストレートにぶつけるのが失礼だというなら、仮定法を使って
Would you go and see the movie with me this weekend?
でもよいではないかと思いました。映画に行くかいかないかを「仮定」の話として相手に出しているわけですから、映画に行くかいかないかを客観的事実として相手にぶつけているわけではないのでていねいなのです。しかし願い事を相手に持っていくときのその迂回の度合いが、これではまだ低いのです。相手にぶつける度合いの迂回度が高くなればなるほどていねいになることは当然ですから、仮定法よりも迂回度を高くしようと思えば、自分が願っていることに距離をおいて過去形にすればよいことになります。そこで
I wondered if you would mind going to see the movie with me this weekend?
という形になります。では
I was wondering if you would mind going to see the movie with me this weekend?
とすると I wondered の場合よりもなぜもっとていねいになるのでしょうか。形が過去進行形になっていますが、進行形は「継起形」であり、~ingがついている動詞の流れのなかに主語がいるということでした。この場合でいえば、「私」という主語が「かどうかなと思う」 wonder if という流れのなかにいるわけです。そしてその流れのなかにはまりきっているわけではなく、ingですからその流れがいつストップするかもしれない不安定な状態です。ですから「週末は僕と一緒に映画に行こう」という願いをいだいている私は、その願いがどうかなと思っている状態はいつまでも続くわけではないわけです。ですからこれを聞いた相手には、自分に向かって問いかけられている願い事がストレートな堅いもの、変更の可能性がないものとして伝わってはこないのです。
このような過去形の感じがわかってくると、相手の質問にたいしてたとえば手紙の末尾に「以上のような説明がお役に立てばと思います」というときに、なぜ
I hope this was of help to you.
のように、 was なのかの理由も感じられるようになります。もちろんこれは
I hope this will be of help to you.(未来形)
でも
I hope this would be of help to you.(仮定法)
でもよいのですが、 was は距離を作り迂回をし、ていねいになるのです。
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