◆二元対立の英語感覚◆《some⇔any》 anyはなぜ肯定文でも使えるのか。


any=どんな

 さて some=「それなりの」 に続いて、こんどは、anyです。any はなんでもよいから「どんな」と覚えておいてください。この意味を押さえておくと、any=「疑問文と否定文で使う」という公式が破れるケースが出てきても理解できます。たとえば公園のベンチで座ってメモをとっていると、男の人が近づいてきてボールペンを借してくれと私にいってきました。ボールペン・マニアの私は常時、いろいろな色と形のペンを携帯しています。どんなペンを貸していいのか迷ってしまいます。どんなペンがいいのかと相手に聞くと、どんなペンでもいいから貸してくれと相手はいいます。

(1) Stranger: “Would you be kind enough to borrow a ball-point pen for me?”
       I: “Sure, but what kind of pen do you prefer?”
  Stranger:Any pen will be fine.”

最後の文に注目してください。そうなのです。肯定文であっても、ここでは「どんなペン」ですからsomeではなくanyとなるのです。

 もうひとつ肯定文のなかのanyの例です。これはアメリカの子供たちの間で大人気の紫色の怪獣バーニー(Barney) が流行させた名文句です。

(2) Anything is possible when you use your imagination.

想像力を使えば、空を飛ぶことも、魔法の国に行くことも、ともかく「どんな」ことでも可能です。だからanyを使います。

さらに比較の肯定文でanyは頻出しますが、なぜでしょうか。

(3) Richard Dawkins writes more lucidly than any other contemporary scientist in UK.
 リチャード・ドーキンズの文章は、現在のイギリスの科学者のなかでも群を抜いて明解だ。

「利己的な遺伝子」を提唱したドーキンズの文章は、イギリスのほかのどんな科学者のものよりも明解だということです。「比較級 than any other 単数名詞」は、科学者というグループを想定して、ドーキンズとグループ内の科学者を一人一人比較していって、やっぱりどの科学者よりもドーキンズとなるわけです。any のどんなの意味が生きているからこそ、この文は最上級で書き換えることも可能なのです。

 any=「どんな」ということがわかると、なぜ否定文で any が頻出するかの理由がわかってきます。たとえば、アメリカの医療に禅を取り入れた事例(マインドフルネス)がありますが、患者は禅と聞くと何か不思議なことのように思いますが、医師の説明を受けて、

(4) Zen meditation is completely demystified. It is not anything exotic.
禅はまったく神秘的なものでなくなる。禅は、まったく異国のものではない。     

「異国のどのようなものでもない」ということで、「まったく異国のものではない」ということになります。前文には completely とありますから、この「まったくない」のニュアンスがここで生きていることはよくわかると思います。ですので、肉を買ってきて冷蔵庫に入れようとしたら、妻から、

(5) There isn’t any space in the fridge.
  冷蔵庫にはまったく空きがないわよ。

といわれたら、余計なものを買ってきたと叱られているわけです。

では条件文ではどうなるのでしょうか。some も any もどちらも出てくることはもういうまでもないでしょう。

(6) Murphy’s Law says that if anything can go wrong, it will.

マーフィーの法則にある言葉ですが、any が使ってありますから、この法則は、「(なんでもよいから)もし何かがうまくいかないと、失敗の事態になるものだ」ということです。ここで any をつかっているのは、うまくいかないのは重要なファクターにかぎらず、なんでもよいからともかく何かがうまくいかないということなのです。

「どんな」というこの any の意味がわかると、allとの違いもはっきりしてきます。 「どんな~」ということは結局、「すべての~」ということと、さししめしている対象は同じことになります。ところが all の場合には、all が修飾する~部分の名詞が、ひっくるめて全部ではという意味がこめられているのです。

(7) All the voters in the district gave No to city’s proposal to develop a new housing district to destroy the forests.
森を破壊して新興住宅地にするという市側の提案に、地域住民は全員ノーを突きつけた。

投票権のある住民全員をひっくるめてひとつのグループとして考えられているわけです。もしこれが Any voter in the district となると、投票権のある住民には、老人、若者、エコ関心者、土建屋など年齢、利害もばらばらだが、そうして漠然と頭に思い描けるどんな人でもという意味になります。


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